#46 ページ16
「まぁとりあえず飲め」
わかりやすい慰めのセリフに甘えて、ジョッキを傾ける。
色々と考えてしまうモヤモヤごと飲み干すようにすると、桐山先輩は良い飲みっぷりやなぁ、と眉を下げて笑った。
「…ついつい、言い過ぎちゃいました」
言った言葉は取り消せない。
そして、それが神ちゃんを傷つけてしまったことも取り消せない。
結局、後悔ばかりが浮かんでくる。
「…ほんま、あんたら似た者同士やな」
「え？」
「もんちも同じこと言ってたで」
八つ当たりしちゃったんやて。
桐山先輩の柔らかな声のトーンは、何だか幼子を諭すみたい。
喧嘩のクオリティは確かに幼稚園生並みか。
「そんで、本人とも話して次の締め切りまでは俺が行くことにした」
「な、んで…」
「もんちの意志や。悪く思わんといて」
「嫌です。俺、ちゃんと謝らな」
思わず身を乗り出すと、それを押さえつけられる。
「それは認められへん。…ええか？ これは、重岡ともんちの友達関係の問題ではないねん」
いつになく厳しい顔。
それでも納得が行かない、を表情に出すと桐山先輩は苦笑い。
「ひっどい顔してるで」
「知ってます、わざとです」
「あんなぁ、重岡はあの子の担当や。ビジネスとしての関係や」
「わかってます」
「ううん、わかってない」
わかってるから告白もできずにウジウジしたままなんやで？
ただの友達なら淳太さんとの会話に割って入ったし、想いを伝えたし、…あんな酷いこと言わなかった。
「お前が担当としてするべきことは、もんちに謝ることやなくて、もんちが描きやすい環境を作ること」
デスクに書類が溜まってるん、知ってるで。
その言葉に言い返す術はなくて。
「何も一生もんちに近づくなって言ってるわけじゃないんやから」
「…次の締め切りまでってことは一週間、ですよね」
「おん。原稿が上がればまた落ち着くやろから。今は人間関係でゴタゴタするべき時やない」
大人になれ、と。
それは社会人をもう何年もやっている自分には情けなさすぎる言葉やった。
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ナナセ(プロフ) - ゆさん» 夜分遅くの返信ですみません。コメントありがとうございます◎ スピンオフも前向きに検討いたします。次回作もお付き合いいただければ幸いです。 (2020年12月16日 1時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます！大好きな作品で、要所要所できゅんが止まりませんでした。上手く言えませんが、本当に最高です…この物語の続きやサブメンバーのスピンオフ的なものも気になりますが、次回作も楽しみにしております。 (2020年12月15日 23時) (レス) id: c2197c2c66 (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - niciさん» コメントありがとうございます。実は両片思いの二人でした…◎ 両片思いという設定を前提に書き進めていたので読み返していただけて嬉しいです！ (2020年12月9日 13時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
nici(プロフ) - ナナセさん、素敵なお話をありがとうございます*キュンキュンしながら、ほんわか温かな気持ちになれるストーリーに出会えて幸せです。番外編で緑くんの恋心を知り、それを踏まえてもう一度最初から読み直してみたら2人とも可愛くて鼻血出ちゃいます！笑 感謝を込めて。 (2020年12月9日 12時) (レス) id: ade73ad07d (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - suu1_____9ndさん» コメントありがとうございます。私も自分で書いておいて終わってしまうのが寂しいです笑 あまり長くはありませんが楽しんでいただけましたら嬉しいです◎ (2020年12月8日 13時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2020年11月25日 10時
