ガラスの靴は一足で。【JW 赤×緑】

#13 ページ13

今日は比較的いつもより早くやるべきことが終わった。
洗濯機ももう回したし、明日のご飯の支度もオッケー。
その分早く帰るんは寂しいけど、神ちゃんの仕事を邪魔するわけにも行かへんし。

「神ちゃん、そろそろ俺帰るわ」
「え、もうそんな時間！？」
「んーや、今日はいつもより早く終わった」

神ちゃんはその言葉にホッと息をつく。

「昼に寝たから時間感覚狂ったかと思った…」
「あんまり無理したあかんで？」
「んー、それはアレ次第」

指差した先にはパソコンの画面。

「え、ちょ！見たい！」

最低限のマナーとして担当つく人の作品は読んどこ、と思って開いた神山センセの漫画。
面白くて大人買い&睡眠時間削って一気読みした、それの最新のページ。

「まだ書き途中やからだーめ。主人公ちゃんが勇気出してアクション起こしたら、俺寝られへんなぁ…」
「うぅ…見たい、けど先生には是非寝てもらいたい…！」
「何で先生？笑」
「や、こう…改めて漫画家さんやなぁと」

いつも何だと思ってたん？という彼の質問をはぐらかす。
毎日会ってると遠慮もなくなって、最近は猫みたいやと思ってた。言われへんけど。

「ふふ、まぁ楽しみにしとって？しげが一番に読むんやから」
「おん…！」

睡眠時間を削るなと念押しして部屋を出る。
ドアを閉める時に覗いた彼の丸まった背中を見て思った。

「んー、やっぱり猫やな」


・


桐山先輩からのメッセージに気づいたのは家に帰ってから。
神ちゃんの担当になってからしばらく経つけど慣れてきた？って。
こういう気配りがさらっと嫌味なくできるの、ほんますごいよなぁ。
小瀧に「相談のろうか？」って声かけたら「何企んでるんですか？」と最低な返事をもらったのは記憶に新しい。

『お気遣いありがとうございます。だいぶ慣れてきました』
『良かった。付きっ切りで大変やろ？』
『まぁ楽って言ったら流石に嘘ですけど。笑 楽しくやらせてもらってます』
『楽しいなら何よりやな』

そして、それから少し遅れて送信された内容。

『明日、ちょっとお使い頼まれてくれへん？』

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