番外編 #04 ページ21
ともから藤井くんの名前を聞いたのは、一緒に暮らし始めてすぐの頃やった。
ともは何ともなさそうに藤井くんのことを話してたけど、ああきっとともは藤井くんが好きなんやろなってすぐわかった。
他の誰よりもたくさん話題に上がる彼。
夜中にふと起きたら、ベランダで電話しているのが聞こえた。
それはまさしく、遠距離恋愛中のカップルみたいで。
藤井くんのことが好きなのかは聞けなかった。
核心に迫る質問をする勇気なんて、俺は持っていない。
初めて藤井くんを見たとき、こいつもとものこと好きなんやってすぐわかった。
酔ったともが、俺に抱きついた瞬間の藤井くんの顔は忘れられへん。笑
そして、藤井くんがともへ宛てる好意は、俺の何倍も長いこと抱えてるものだってわかったし、ともが藤井くんのことを好きだってわかってたから、もうどうしようもないよな。
ともが片思いしてるなら、せめて。
そんな淡い期待は早々に打ち砕かれて。
そこからは、ともと居られるのも時間の問題やなって気づいて、噛みしめるように過ごした。
ともの写真を撮って、会話をたくさんして、記録にも記憶にもたくさん残るように。
やめて、って怒るのも、たまに機嫌が良くてピースしてくれるのも、全部、全部焼き付けて。
「…告白する前に振られるとか、だっさいなぁ」
ともの覚悟を決めたような顔。
頑張りたいときに着る、白いTシャツ。
今日、ともが藤井くんに想いを伝えるのはなんとなくわかった。
お互い協力しあってた先輩が先に結ばれたとかで、次は俺の番ですね、って言ってるのも聞こえてたし。
先輩の恋を後押しする間に、藤井くんとの距離を詰めたい、って。
そんなことせんでも、藤井くんはとものこと、好きやのに。
…そんなことしてても、俺はまだとものこと、好きなのが忘れられへんのに。
・
“お兄ちゃんみたいな存在”なんて言葉で自分の劣情を隠していたバチが当たったんやろか。
「…とも、？」
「だ、いきさん…っ、」
泣きながら帰ってきたともが抱きついてくるのも拒めないまま。
「どしたん？」
「どうもしてへん、っ…」
「そんなわけないやろ」
「…ちょっとだけ、こうさせてて」
肩口に、ともの涙がじんわりと沁みていくのがわかる。
“お兄ちゃん”でも、抱きしめ返してええよな？
「ごめん…っ、俺、好きで…ごめん、りゅうせい、」
違う男の名前を呼びながら泣きじゃくるともの体温を感じる時間は、“お兄ちゃん”になりきれなかった俺には辛くて仕方がなかった。
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たや(プロフ) - ナナセさん» 了解いたしました。ありがとうございます（ ; ; ） (2020年8月13日 23時) (
レス) id: 55e5f617c0 (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - たやさん» 夜分遅くのお返事になってしまってすみません。たや様は18歳を超えておられますか？フラグ付き作品となりますので、18歳未満の方は閲覧できません。18歳以上の場合、マイページの設定下部にあるコンテンツの設定を今一度ご確認頂ければと思います。 (2020年8月13日 23時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
たや(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいております。夏、君と恋に落ちる。の閲覧をしたいのですが探しても出てきません（ ; ; ）どうしたら見れますでしょうか。 (2020年8月13日 21時) (レス) id: 55e5f617c0 (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - なんさん» コメントありがとうございます。続きを待っていてくださる読者様の存在が本当にモチベーションに繋がっています◎ 次回作もお楽しみいただけましたら幸いです。 (2020年7月26日 16時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
なん - 連載おつかれ様でした。続きをいまかいまかと楽しみにしながらドキドキしながら読ませて頂いてました！ナナセさんの描くjw作が一番好きです。作品作りを継続して下さりありがとうございます。次回作も楽しみにしています^^ (2020年7月26日 14時) (レス) id: fc58f71f61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2020年7月13日 16時
