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番外編 #01 ページ18

(がっつりと赤→緑なので苦手な方は閲覧をご遠慮ください。番外編は全て赤目線です。)



俺はその日天使を拾った。



駅前の大きな木に、申し訳程度の電飾が飾られているのを見ると、嫌でもクリスマスを連想する。
クリスマスはそんなに好きじゃない。
そりゃ昔は家族とお祝いしたりしたけど。
学生時代は勉強にばかり打ち込んで、“彼女とイルミネーションデート”なんてシチュエーションになったことない。
…自分の名誉のために言っておくと、それなりにモテてたで。
その全てをお断りしてただけで。
まぁその甲斐あって、予備試験も司法試験も在学中に受かったのは嬉しいけど、じゃあ仕事帰りにこの中途半端に飾られたツリーを見てもムカつかないかというとそれは別問題。
クリスマスまでのあと数週間で慌てて彼女を作るのは違うと思うし。
リア充爆発しろ!と典型的な言葉を浮かべながら家への道を歩く。






「うわ、」

家に近づくごとにやけにサイレンが聞こえるなとは思っていた。
冬やし、どっかで火事が起きてるんかなとも思った。

「燃えてる…」

案の定、やっぱり火事は起きていた。
俺の家の、すぐ向かいのアパート。
消防士の懸命な放水も虚しく、木造のそれはメラメラと燃え続けていて。
野次馬の様子からして、住んでる人は皆無事っぽいのが不幸中の幸いやな。

「……え、」

何となく家に入るのもはばかられて、ぼーっと眺めていると俺の背後から小さな声。

「うそ、俺の家…」

振り返ると、金髪の少年がポロポロと涙を流していた。

「君、もしかして」

あのアパートの子?
俺が言い終わる前に、動揺した様子の少年がアパートへと駆け出していく。

「ちょ、危ないって!」
「話してくださいっ、部屋に大事なもんいっぱいある…」
「命より大事なものなんてないやろ!」

俺が掴んだ手首を尚も振りほどこうとする彼を、どうにか押さえ込む。

「あの中飛び込んだら死ぬで?自分、死にたいんか?」

それがともとの出会いやった。

番外編 #02→←#57



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たや(プロフ) - ナナセさん» 了解いたしました。ありがとうございます( ; ; ) (2020年8月13日 23時) (レス) id: 55e5f617c0 (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - たやさん» 夜分遅くのお返事になってしまってすみません。たや様は18歳を超えておられますか?フラグ付き作品となりますので、18歳未満の方は閲覧できません。18歳以上の場合、マイページの設定下部にあるコンテンツの設定を今一度ご確認頂ければと思います。 (2020年8月13日 23時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
たや(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいております。夏、君と恋に落ちる。の閲覧をしたいのですが探しても出てきません( ; ; )どうしたら見れますでしょうか。 (2020年8月13日 21時) (レス) id: 55e5f617c0 (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - なんさん» コメントありがとうございます。続きを待っていてくださる読者様の存在が本当にモチベーションに繋がっています◎ 次回作もお楽しみいただけましたら幸いです。 (2020年7月26日 16時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
なん - 連載おつかれ様でした。続きをいまかいまかと楽しみにしながらドキドキしながら読ませて頂いてました!ナナセさんの描くjw作が一番好きです。作品作りを継続して下さりありがとうございます。次回作も楽しみにしています^^ (2020年7月26日 14時) (レス) id: fc58f71f61 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナナセ | 作成日時:2020年7月13日 16時

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