#05 ページ5
神ちゃんは嘘をつかない。
そう、寝ると言ったら寝る。
ご丁寧に俺の地図アプリに住所を打ち込んだ彼は、再び俺の背中で寝た。
「神ちゃん、鍵は」
「んんぅ？空いとるよぉ」
空いてる訳ないやろ、と思いながらドアノブを回すと軽い手応え。
「……え、」
「だいきさぁーん、ただいまぁ」
「……え？」
「だいきさん、もうねてるん？」
すとんと俺の背中から降りると、だいきさんなる者に呼びかけながら千鳥足で家に入っていく。
「とも、遅かったやん！」
「あ！だいきさん、今日同窓会やって言うたやーん」
そのままハグ、…ハグ？
「酒くさっ！酒臭いから抱きつかんといて」
「だいきさんのけち」
酔っ払いはぶーたれた顔でどこかへ向かう。
「ちょ、とも！そんなへべれけで風呂入ったあかん！明日にしいや！」
「いやや。臭いんやろ？」
ふーんだっ！とわかりやすく拗ねた声が家の奥から聞こえる。
なるほど、風呂入ろうとしてたんか。
「…えーっと、どちら様ですか？」
「人に名前聞くときはまず自分からやろ。俺は重岡大毅。ともの同居人」
「どうきょにん」
「やーかーらー、一緒に暮らしてるの！」
「いっしょに」
「お前も酔っ払ってるんか？」
いや、ショックで。
「で、名前は？」
「藤井流星て言います。神ちゃんとは中学からずっと一緒で」
その言葉に重岡さんは“高校卒業まで、な”と厳密な訂正を入れた。
「ともが専門行ってる時に出会った。言うなれば俺はともにとって第二のお兄ちゃんみたいなやつやな」
じゃ、とものこと運んでくれてありがとう。
そう言って彼は財布を取り出した。
「これ、タクシー代。足りる？」
「あ、全然足ります…てか、あのお気遣いなく…」
「遠慮しなくてええから。ほい」
ずい、と目の前に突きつけられたのは福沢さん。
たしかに完全逆方面やったけど、流石にこれは多い。
渋っていると、家の中から再び大毅さんコールが。
「とも呼んでるし。うん、とっとと帰ってや」
「…はぁ、」
俺がまともに返事するかしないかのうちにドアは閉じられた。
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ナナセ(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます。シークレット。からお読みいただいているのですね！嬉しいです◎ 移行後もお楽しみいただけましたら幸いです (2020年7月13日 16時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - シークレットから読んでます。シークレットもとても好きなお話だったのですが、青緑が1番好きなので、今回のお話ほんとに大好きです！これからも更新楽しみにしてます(^^) (2020年7月12日 21時) (レス) id: 56de8cf1c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2020年6月22日 16時
