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#35 緑 ページ35

基本的に受け身な恋愛しかしてこなかった。
話の合う仲のいい女友達に告白されて、別に断る理由もないから付き合って。
会話は弾むし、連絡も頑張ってこまめにとった。
やけど、ちょっとするとプツリと糸が切れたように関係が途切れる。
相手が「ほんまに私のこと好き?」と詰め寄ってくるか、俺自身が交際を続けるのがしんどくなって別れを切り出すか。
「ほんまに私のこと好き?」という質問に、俺はいつも困る。
困ったのがバレた瞬間に、関係は終わる。
未だに、当時彼女のことが好きだったかと問われると、少し自信がない。
(俺が家に呼ばないから振られたこともある。まぁ呼んでも大毅さんと鉢合わせて振られるんだろうけど)

「淳太先輩、終わりました」

キツキツのファイルに紙をどうにか入れて、部屋を出る。
リビングでコーヒーを飲んでいた淳太先輩は俺の声にパッと顔を上げた。

「コーヒー、言ってくださったら入れたのに…」
「ええよええよ。今日はただでさえイレギュラーなことしてもらっちゃったんやし」
「心理学って幅広いんですね」
「…あー、あれはな、友達の趣味の一環っていうか」

ちょっと困ったように笑う淳太先輩。

「気分悪くしてなかったらええけど…」
「大丈夫ですよ。匿名ですしね」
「あとさ、今日はイレギュラーついでにもう一個頼み事してもええ?料理、教えて欲しいねん。」

それは俺がずっと気になっていたこと。
やから一つ返事で了承した。
…んだけど。

「…そうめんを茹でたことがない?」
「おん」
「え、ほんまですか?」
「おん」

形から入るタイプどころの話やなくない?それ。
なぜそれであんなに調理器具充実してるん。笑

「とりあえず、そうめん茹でます?」
「お願いします」





バキバキに折れたそうめんを二人で啜りながら反省会。

「慣れてなくて手際がちょっとアレでしたけど…回数重ねればどうにかなると思います」
「ほんま?」
「…多分」

多分。

「でも急に料理って、どうしたんですか?」
「んー。そろそろだと思って」
「そろそろ?」
「おん。そろそろ」

笑顔で言うだけで、これ以上は言及してくれない。
まぁただの家事手伝いだからそこまで踏み込むわけにもいかないよなぁ。

「痛っ…!麺つゆが目に入った…」
「…食べるのも下手ですか」
「ひどいわ!」

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ナナセ(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます。シークレット。からお読みいただいているのですね!嬉しいです◎ 移行後もお楽しみいただけましたら幸いです (2020年7月13日 16時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - シークレットから読んでます。シークレットもとても好きなお話だったのですが、青緑が1番好きなので、今回のお話ほんとに大好きです!これからも更新楽しみにしてます(^^) (2020年7月12日 21時) (レス) id: 56de8cf1c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナナセ | 作成日時:2020年6月22日 16時

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