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「もしかしてさ、スリッパ以外にもあるん？」
「え？」
「布団、とか」
あるのと貸すのとは違う。
でも先輩はそんなこと1mmも疑ってないみたいに無邪気な顔で尋ねた。
「迷惑やったら全然大丈夫、けど友達ん家泊まるとか大学以来で…もし良かったらいつか泊まりたいな」
「いつかじゃなくても良いですよ？金曜やし」
やからちょっとだけ意地悪。
俺の下心なんて何も知らない、でも上司として好かれてるだろうってそう確信してやまない先輩に。
わざと下から覗き込むように目を向けると先輩は頬に笑窪を浮かべる。
「ええの？」
「先輩がいいなら。パジャマも布団も貸せますけど、歯ブラシとかは…」
「おん、それは自分でどうにかする。てかコンビニで買ってくる！」
るんるんと音符でも浮かんでいそうな先輩を見て思う。
この恋は絶対に叶わないんやろなって。
「じゃあ夜ご飯作ってるんで、その間に必要なもの買ってきてください」
「おっけ。何かおつかいする？
「んや、一通り揃ってるんで大丈夫です」
先輩を玄関に追いやって一つため息。
さて、何作ろう。
・
「この前一緒にご飯作った時も思ったけど、神山って器用よな」
先輩は俺の手元を覗き込んでぽつりと言う。
コンビニから帰ってそのままお風呂。
お湯沸かしておいたら“至れり尽くせりやな〜”って。
「俺、神山がご飯作ってるところ永遠見てられる気がする」
「そこまで手際良くないですよ」
「ううん、なんかなぁあったかい気持ちになんねん」
オカンみたいな？そう思ったけど、言わなかった。
先輩の視線が食器棚へと移る。
「今度、お揃いのマグカップとか買ってもええ？流石にそこまでするのは嫌？」
「先輩ほんまに形から入るの好きやな」
「んふふ、せやねん。ベタやけど憧れる」
「そういうの、ようやってたんですか？付き合ってる人いた時とか」
問いかけると先輩は首を振る。
さらさらと黒髪が揺れて、俺の家のシャンプーの匂いがして。
胸にくすぐったいような痛いような刺激を覚える。
今、先輩は俺の生活に入り込んでる。ぴったりとパズルがはまってるみたいに。
「してへんよ。俺シャイやから、そういうのよう言われへんねん」
「ダメ男やなぁ。女の子はきっと言われたら嬉しいと思いますよ」
「んー」
「まぁでも予行練習ってことで良いですよ。一応、先輩の恋人代理なので」
先輩に笑いかける。
自分の言葉に傷つく心なんて無視して。
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ナナセ(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。完結まで漕ぎつけられたのはあさんを始め、たくさんの方が読んでくださったおかげです！最後までお付き合いいただきありがとうございました☺️ (8月22日 9時) (
レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - ゆきのさん» コメントありがとうございます。赤さんは途中から💚さんへの気持ちに自覚が出てきたので、だんだん会いたいだけで誘うようになったし、キスもそういうことです🙊 最後までお付き合いいただきありがとうございました！ ぜひ次回作もお付き合いくださいませ！ (8月22日 9時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - foolさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまって申し訳ありません💦 緑さん可愛いファンクラブ(自称)なので嬉しいですー！ (8月22日 9時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
あ - 初コメ失礼いたします。完結おめでとうございます！緑くんの恋が実って良かったです😭今回も素敵な作品ありがとうございました！ (8月21日 20時) (レス) id: f17f5e7704 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - もともと緑くんが好きだったから、見えない所でも恋人っぽく振る舞ってたのかと思いきや、天然だったのはちょっとビックリ。罪な男…！付き合い始めて、青くん達にも紹介したんだろうなとか、色々妄想したくなっちゃいます。次回作も楽しみにしています。 (8月20日 1時) (レス) id: 22105fbc41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2023年7月14日 22時
