#07 ページ7
久しぶりにあの頃の夢を見た。
俺の脳みそにこびりついて消えない、あの人の夢。
先輩のことを好きになっちゃいけないって過去の自分に諭されているみたいで、朝から自分に呆れる。
「せんせい、元気かな…」
スマホを開くと先輩からのおはようLINE。
変に意識しないように、何事もないかのように。
俺もおはようございます、と簡潔に返す。
先輩の家に行ってからも、距離感に変化はない。
恋人というには遠慮が残ったその数十センチが俺にはもどかしくて、だけど絶対に越えられなくて。
だって、別に必要ない。
会社の中で、家の中で、先輩の恋人ヅラして隣に居ること。そんなのいらない。
「神山、さっき送ってくれた資料なんやけどさ」
「っ、はい」
「この部分なぁ、もう少し言葉変えられへん？俺らは余裕でわかるけど、相手さん理解しにくいかも」
必要ないのに、
「わかりました、すぐ直します」
「ありがとう。よろしくな」
どうしてそんな優しい視線向けてくれるん？
先輩の胸ぐら掴んで、問いただしたくなる。
・
お弁当と一緒にと思って持ってきたカップスープ。
お湯を注ぐために給湯室に向かうと、先輩の困ったような声が聞こえた。
「やから、付き合ってる人居るねん。君とは二人きりで会えない」
あの人だ。
思わず隠れるように壁に体をつけてしまった。後ろめたいことなんてひとつもないのに。
「前も言ったけど、約束は守れない。ごめん。申し訳ないと思ってるよ」
だいき、って呼んでみようかな。
だって俺、先輩の恋人役なんやから。それが仕事なんやから。
ねぇ大毅、いつまで電話してるん？早よ戻ろう、って。
「もう勘弁してくれへん？恋人に迷惑も心配もかけたくない」
「…っ、先輩！お電話中すみません。今安田さんから連絡があって」
電話の相手に聞こえるくらいの大きな声。
見せつけてやろうとか思ったのに、結局逃げる自分が情けない。
「今出られますか？折り返してもらいますか？」
マグカップを持ってる俺を見て、意図に気付いたのだろう。
申し訳なさそうに顔の前でごめんの形を作ると、電話の相手に捲し立てるようにして挨拶する。
「電話入ったから、ごめん。切るで」
ちょっと待って！と悲痛そうな女の人の声が漏れ聞こえて、少しだけ心が痛んだ。
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ナナセ(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。完結まで漕ぎつけられたのはあさんを始め、たくさんの方が読んでくださったおかげです！最後までお付き合いいただきありがとうございました☺️ (8月22日 9時) (
レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - ゆきのさん» コメントありがとうございます。赤さんは途中から💚さんへの気持ちに自覚が出てきたので、だんだん会いたいだけで誘うようになったし、キスもそういうことです🙊 最後までお付き合いいただきありがとうございました！ ぜひ次回作もお付き合いくださいませ！ (8月22日 9時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - foolさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまって申し訳ありません💦 緑さん可愛いファンクラブ(自称)なので嬉しいですー！ (8月22日 9時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
あ - 初コメ失礼いたします。完結おめでとうございます！緑くんの恋が実って良かったです😭今回も素敵な作品ありがとうございました！ (8月21日 20時) (レス) id: f17f5e7704 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - もともと緑くんが好きだったから、見えない所でも恋人っぽく振る舞ってたのかと思いきや、天然だったのはちょっとビックリ。罪な男…！付き合い始めて、青くん達にも紹介したんだろうなとか、色々妄想したくなっちゃいます。次回作も楽しみにしています。 (8月20日 1時) (レス) id: 22105fbc41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2023年7月14日 22時
