#46 ページ46
お風呂上がりのアイスは正義。
先輩に付き合ってだらだらと深夜バラエティを見ながらスプーンをまた一口、口に運ぶ。
「30歳になっても夜中にアイス食べたい」
「お。頑張れ。俺は無理やけど。身体的にも精神的にも」
「精神的？」
「罪悪感、こんな時間に間食したあかんってストップかかる。大人になった証拠やな」
他愛もない会話をしてると、帰りたくないなって思う。
今日は泊まるけど、これからもずっとこんな時間が続けばって、わがままが顔を出す。
「…なぁ、神山」
「はい」
「あの日のこと、覚えてへん？」
テレビはCMになった。
本編よりも少し大きな音量で、聞き馴染みのある商品名が連呼される。
先輩はリモコンを手に取ると音量を下げた。
「あの日のことって、？」
声が震える。
俺が酔った日のことやってすぐにわかったけどはぐらかす。
ふっと微笑んだ先輩には、何もかもお見通しなのかもしれない。
「俺、意気地なしやからさ、自分から行動起こすの割と苦手。まぁ女の子に押し切られて結婚の約束しちゃうくらいやからバレてるかもしれへんけど」
「……」
「神山から何も来てくれないってことは、やっぱり酔った勢い？俺のことは好きやない？」
あの日の発言はなかったことにしたかった。
先輩の隣にいたい。一緒にご飯食べて、たまにはお泊まりしたい。
この関係を壊したくない。
友達みたいな顔して先輩の隣に居座り続けたいと思うのは、やっぱり俺のわがまま。
「…ずるい聞き方ですね」
「ごめん。…でもこんな余裕無くなるくらいには俺、神山のこと特別に思ってる」
「とく、べつ」
ぎゅっと胸が締め付けられるような気がした。
嬉しいのに、苦しい。苦しいのが、嬉しい。
「好きや。神山のことが、好き。一緒にゲームして、映画見て、ご飯食べて、…でも同僚とか友達じゃできひんこともしたい、そういう好き」
そういう好き、と繰り返しそうになるのを喉元で堪えた。
先輩は俺のおうむ返しを聞きたいわけやない。
「嫌やったらごめん。でも、正直期待した。酔ったら誰彼構わず求めるキス魔やったとしても、俺は“なし”ではないのかなって」
「…キス魔やないです。っ、俺なりに勇気出して、その……俺も先輩のこと好きです」
あっけない。
一度言ってしまうと言葉はするするとこぼれていく。
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ナナセ(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。完結まで漕ぎつけられたのはあさんを始め、たくさんの方が読んでくださったおかげです！最後までお付き合いいただきありがとうございました☺️ (8月22日 9時) (
レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - ゆきのさん» コメントありがとうございます。赤さんは途中から💚さんへの気持ちに自覚が出てきたので、だんだん会いたいだけで誘うようになったし、キスもそういうことです🙊 最後までお付き合いいただきありがとうございました！ ぜひ次回作もお付き合いくださいませ！ (8月22日 9時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - foolさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまって申し訳ありません💦 緑さん可愛いファンクラブ(自称)なので嬉しいですー！ (8月22日 9時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
あ - 初コメ失礼いたします。完結おめでとうございます！緑くんの恋が実って良かったです😭今回も素敵な作品ありがとうございました！ (8月21日 20時) (レス) id: f17f5e7704 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - もともと緑くんが好きだったから、見えない所でも恋人っぽく振る舞ってたのかと思いきや、天然だったのはちょっとビックリ。罪な男…！付き合い始めて、青くん達にも紹介したんだろうなとか、色々妄想したくなっちゃいます。次回作も楽しみにしています。 (8月20日 1時) (レス) id: 22105fbc41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2023年7月14日 22時
