#41 ページ41
行くか行かないかは五分五分です、と伝えたらしい。
やから別にドタキャンしたって全く問題ないって。
「……はぁ」
会えなくても幸せなら、ってずっと思ってた。
やって会えなくなったのは俺のせいやし。俺がちゃんと隠せなくて、たくさん先生に迷惑かけたから。
「いらっしゃいませ。一名様ですか？」
「っ、待ち合わせ…で」
それでも会ってみたいと思ったのは何でやろな。
先輩の顔が頭をよぎって……あんなにわがままな好きの気持ちを、先生に肯定してもらいたくなったのかもしれない。
このめちゃくちゃな気持ちが何なのか、初恋の人に教えてほしいと思ったからなのかもしれない。
「神山？」
「…はい、お久しぶりです」
喫茶店は少しだけ薄暗い。
どこか懐かしいような雰囲気が漂う店内は、先生によく似合っていた。
「大きくなったなぁ。もう立派な大人や？」
「今年29に」
「そっか。もうそんなになるのか」
言葉にして、あの時の先生の歳を既に超えていたことに気づく。
10も離れてないもんな、冷静に考えたらそうなんやけど。
中学生の俺から見た先生は、今の俺よりずっと大人びて見えていた。
「何頼む？」
「アイスコーヒーで」
「食べもんは？」
「すみません、家で食べてきちゃいました」
先生、全然変わらないな。
少しだけ目元に笑い皺が増えたかも。
幸せな年の取り方をしているんやと思うと、安心したというか…何様って話やけど。
「…もう一生会ってくれへんと思ってた。神山からしたら俺なんて、犯罪者やろ？」
「そんな…俺の方こそ、先生は俺と会いたくないんやって」
ふるふると先生は首を振る。
「会いたかったなんて言えへん。言ったらあかんのわかってる。けど、ちゃんと元気してるかなってずっと思ってたよ。会話できひんくても、一目だけでも見れへんかって」
優しい瞳はもう、ただ俺を教え子としてしか見てない。
「今はこっちで暮らしてるんですか？」
「ううん。…帰阪したのは十五年ぶりやな」
こっち来たらすぐ関西弁も戻ってきたわ、と先生が笑う。
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ナナセ(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。完結まで漕ぎつけられたのはあさんを始め、たくさんの方が読んでくださったおかげです！最後までお付き合いいただきありがとうございました☺️ (8月22日 9時) (
レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - ゆきのさん» コメントありがとうございます。赤さんは途中から💚さんへの気持ちに自覚が出てきたので、だんだん会いたいだけで誘うようになったし、キスもそういうことです🙊 最後までお付き合いいただきありがとうございました！ ぜひ次回作もお付き合いくださいませ！ (8月22日 9時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - foolさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまって申し訳ありません💦 緑さん可愛いファンクラブ(自称)なので嬉しいですー！ (8月22日 9時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
あ - 初コメ失礼いたします。完結おめでとうございます！緑くんの恋が実って良かったです😭今回も素敵な作品ありがとうございました！ (8月21日 20時) (レス) id: f17f5e7704 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - もともと緑くんが好きだったから、見えない所でも恋人っぽく振る舞ってたのかと思いきや、天然だったのはちょっとビックリ。罪な男…！付き合い始めて、青くん達にも紹介したんだろうなとか、色々妄想したくなっちゃいます。次回作も楽しみにしています。 (8月20日 1時) (レス) id: 22105fbc41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2023年7月14日 22時
