#29 ページ29
「お邪魔しました」
「いいえ〜、神山も俺ん家泊まって行けば良いのに」
「そういうのは泊まれる設備整えてから言ってください」
普通の会話を普通の顔してできるくらいには、友達業にも板がついてきた。
恋人のふりする方がよっぽど楽やし幸せやったな、と数週間前のことを振り返ってしまう癖は抜けないけど。
「あ、コンビニで支払いあるんやった。ちょっと寄ってもええ？」
「はい」
駅までの見送りは男友達のすることやないかも。
そう思っても何も言えないのは、先輩の家から駅までの十数分の時間が心地いいから。
「ついつい忘れてまうんよなー、支払い現金のみっていうのも地味にめんどいし」
「わかります、帰りに寄ろうと思って結局気づいたら家に着いてる」
来店を告げるチャイムとともに、バイトの気だるげな挨拶。
この時間帯やから大学生かな。
払込用紙を手にレジへと一直線に向かう先輩を横目に、スイーツの棚を覗く。
「…うまそ」
新商品の印字がされたチョコレートケーキに心惹かれるも我慢。
こんな夜に食べたら吹き出物ができる。(あ、なんか俺もアラサーの自覚がじわじわ)
「お待たせ。…買う？」
「いや、あかんって脳が言ってる」
「お、自制心」
コンビニまで来てしまえば、駅はあと少し。
ここでバイバイかなと思いながら一歩後ろを歩く先輩を振り返る。
「先輩、俺もうここで」
「ごめん」
「え、？……んっ、ちょっと、」
唇に重なったのは唇。
少しだけかさついてる。そういうところに、男を感じてしまって心がきゅんと疼いた。
「っ、何するんですか」
「ごめん。…あの子が見てて」
「あの子？」
「…もう少し」
嫌だと身をよじろうとしたら、頭に手を回された。
それだけで、別に抵抗できなくなったわけやない。
だけどどうにも体が動かなくて。
「…居なくなりました？」
「うん。…ごめん、他に方法思いつかなくて」
「別に路チューかます痛カップルのふりしなくても」
「そ、やな。ごめん、ほんま」
へら、と先輩が笑う。
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ナナセ(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。完結まで漕ぎつけられたのはあさんを始め、たくさんの方が読んでくださったおかげです！最後までお付き合いいただきありがとうございました☺️ (8月22日 9時) (
レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - ゆきのさん» コメントありがとうございます。赤さんは途中から💚さんへの気持ちに自覚が出てきたので、だんだん会いたいだけで誘うようになったし、キスもそういうことです🙊 最後までお付き合いいただきありがとうございました！ ぜひ次回作もお付き合いくださいませ！ (8月22日 9時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - foolさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまって申し訳ありません💦 緑さん可愛いファンクラブ(自称)なので嬉しいですー！ (8月22日 9時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
あ - 初コメ失礼いたします。完結おめでとうございます！緑くんの恋が実って良かったです😭今回も素敵な作品ありがとうございました！ (8月21日 20時) (レス) id: f17f5e7704 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - もともと緑くんが好きだったから、見えない所でも恋人っぽく振る舞ってたのかと思いきや、天然だったのはちょっとビックリ。罪な男…！付き合い始めて、青くん達にも紹介したんだろうなとか、色々妄想したくなっちゃいます。次回作も楽しみにしています。 (8月20日 1時) (レス) id: 22105fbc41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2023年7月14日 22時
