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「神ちゃーん、遊びきたでー」
無遠慮に二回続けてインターホンを鳴らすのは流星の癖。
一回で出るから待っててって言うのにまぁ聞きやしない。
「わ、大荷物」
「そこで服買ってきた。もう冬物売ってるんやな」
紙袋を壁にカシュカシュとぶつけながら流星はソファへ向かう。
…あ、靴下半分脱いでる。この世の人は皆半分で靴下脱ぐことに力尽きるんか？
「思ったより平気そうな顔やな」
「あー、まぁ、最初からわかってたことやし」
「神ちゃんそゆとこあるよな」
「そゆとこ？」
「諦めるのが異様に早いところ」
何度も言われてるし、自覚済みやし。
ただ簡単には治らんだけで。
「諦めるっちゅーか今回は元から期待してへん」
「あれそうやったっけ？数日前に弱音吐いてたん誰や」
「…それはそうやけど」
思ったよりお別れはあっけなくて。
何度も言ってもう重みすらなくなった“ありがとう”を、また何度も言った。
「ちゃんと最後まで可愛い神ちゃんで居れた？」
「うん。善処した」
「それでもう満点やな」
ほい、と差し出された真っ白な箱。
側面に書かれた文字を認めて納得する。
「タルトタタンやって。タタンがどういう意味かわからんかったけど、りんごがたくさん乗って美味しそうやったから」
「気になってたお店のやつや！ありがとう」
毎度俺の好きそうなスイーツを見繕ってきてくれるところ、マメやなぁと感心する。
こういうところ、流星の仕事にしっかり活きてくるんやろな。
「紅茶とコーヒー、どっちがええ？」
「コーヒー、ブラックで」
「はいよ」
食器棚を開くと嫌でもマグカップが目に入る。
それは流星も同じだったようで、そのまま俺に真っ直ぐ視線が向いた。
「お揃いの？」
「うん」
「持って帰ってきたん」
「やって…先輩の家にずっとあるのも変やし、捨てられてもしんどいし、新しい彼女に使われたらとか思ったら」
言ってて自分の情けなさに呆れる。
“そうそうイニシャル被らんやろ”と笑われて、いっそう情けなくなる。
「落ち込んでるのかないのか、どっちかにしいや」
「そぉやな。ほんま、俺もそう思う」
「……」
「んはは、流星のほうが悲しい顔してどうするんよ」
あぁ、冷凍庫に残ったアイス。
後でこいつにあげようかな、食べるかな。
……きっと一人で食べたって美味しくない。
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ナナセ(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。完結まで漕ぎつけられたのはあさんを始め、たくさんの方が読んでくださったおかげです！最後までお付き合いいただきありがとうございました☺️ (8月22日 9時) (
レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - ゆきのさん» コメントありがとうございます。赤さんは途中から💚さんへの気持ちに自覚が出てきたので、だんだん会いたいだけで誘うようになったし、キスもそういうことです🙊 最後までお付き合いいただきありがとうございました！ ぜひ次回作もお付き合いくださいませ！ (8月22日 9時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - foolさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまって申し訳ありません💦 緑さん可愛いファンクラブ(自称)なので嬉しいですー！ (8月22日 9時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
あ - 初コメ失礼いたします。完結おめでとうございます！緑くんの恋が実って良かったです😭今回も素敵な作品ありがとうございました！ (8月21日 20時) (レス) id: f17f5e7704 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - もともと緑くんが好きだったから、見えない所でも恋人っぽく振る舞ってたのかと思いきや、天然だったのはちょっとビックリ。罪な男…！付き合い始めて、青くん達にも紹介したんだろうなとか、色々妄想したくなっちゃいます。次回作も楽しみにしています。 (8月20日 1時) (レス) id: 22105fbc41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2023年7月14日 22時
