#17 ページ17
「随分仲良いんやね」
「異動してからずっと面倒見てくれてるから」
別に、淳太にぃのことが苦手なわけやない。
むしろこんなに気にかけてくれて、優しくて、お茶目なところもあって、ほんまに大好きな家族。
やけど、やからこそ、言えないことだってあるわけで。
「職場にいい人居らんの？」
「んー」
25歳超えたあたりからかな、恋人とか結婚とかの言葉を出し始めたの。
それも愛やってわかっていても、どうしてもつっけんどんにあしらってしまう。
「もーお兄ちゃん心配やわ。結婚しやんと一生一人やで」
「淳太にぃやってお付き合いしてる人居らんのやろ？」
「俺はええの。独り身同士何人かでシェアハウスする予定やから」
「じゃあ俺も友達と暮らす」
「とも…まだ20代やねんからそんな諦めたみたいなこと言わないでや」
独身貴族って言葉が似合いそうな、大人の余裕を持った淳太にぃ。
俺から見たらその生活だって憧れやのに。
「…淳太にぃは結婚したかった？」
「まぁそら、いい人がいればな」
「今からでも結婚してみようって思わへんの？」
「んーそれは思わんな。十分幸せやし、一人なら一人で楽」
じゃあそんな、自分に叶わなかった夢を子供に託すみたいなことしないでよ。
その言葉はあまりにも残酷すぎるから、胸の中にそっとしまう。
「結婚…か」
多分俺、淳太にぃが諦めるよりずっと前に諦めてたよ。
中学生の時にはもう、それが叶わない夢やって気づいてた。
・
初恋が先生、なんて言うのは良く聞く話。
でもそれが幼稚園の先生やなくて中学の先生で、お尻の綺麗な女の先生やなくて筋肉がしっかりついた男の先生で、…既婚者だったこと、それら全部が俺の人生を少しだけ生きづらくした。
先生はどこまで自覚してたんやろ。
俺が抱えていた憧れを無理に捻じ曲げて良いようにした、校長先生にそう話したらしいけどそれは違う。
先生と関係を持つ前から、振り向いてくれる前からずっと、俺は先生に恋をしていた。
初恋なんて言葉が似合わないくらい、欲に塗れた感情を抱いていた。
「とももう夕飯食べた？」
「食べた。淳太にぃ食べてへんの？」
「うん。食べずにそのままこっち来ちゃった」
「冷蔵庫にあるもの適当に食べて。残り物で悪いけど」
やから、先生のせいなんかやない。
「あ、俺の好きな鶏煮たやつあるやん」
「レンチンちゃんとしてな」
先生のせいやないから、最後にもう一度顔見たかった。
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ナナセ(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。完結まで漕ぎつけられたのはあさんを始め、たくさんの方が読んでくださったおかげです！最後までお付き合いいただきありがとうございました☺️ (8月22日 9時) (
レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - ゆきのさん» コメントありがとうございます。赤さんは途中から💚さんへの気持ちに自覚が出てきたので、だんだん会いたいだけで誘うようになったし、キスもそういうことです🙊 最後までお付き合いいただきありがとうございました！ ぜひ次回作もお付き合いくださいませ！ (8月22日 9時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - foolさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまって申し訳ありません💦 緑さん可愛いファンクラブ(自称)なので嬉しいですー！ (8月22日 9時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
あ - 初コメ失礼いたします。完結おめでとうございます！緑くんの恋が実って良かったです😭今回も素敵な作品ありがとうございました！ (8月21日 20時) (レス) id: f17f5e7704 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - もともと緑くんが好きだったから、見えない所でも恋人っぽく振る舞ってたのかと思いきや、天然だったのはちょっとビックリ。罪な男…！付き合い始めて、青くん達にも紹介したんだろうなとか、色々妄想したくなっちゃいます。次回作も楽しみにしています。 (8月20日 1時) (レス) id: 22105fbc41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2023年7月14日 22時
