#12 ページ12
彼はいつも突然訪れる。
本人には言わない秘密のあだ名は、台風のんちゃん。
「神ちゃんせんぱーい！！」
どん、と背中に強い衝撃。
慣れるまでは毎回追突事故にでもあったのかと声を上げて驚いてたっけ。
「うお、背中痛いて」
「元気してました？いつぶりやろ？」
「一ヶ月とか？忙しくしてるって聞いたで」
「そぉなんですよ、もー今福岡とここと行き来してる状態で。全然ゆっくりできてなくて」
小瀧望。
俺の営業部時代の後輩で、ご覧の通りめちゃくちゃ懐かれてる。
「神ちゃん先輩不足です〜」
すれ違う人がギョッとした顔で見てくるのは俺がのんちゃんをズルズル引きずるように歩いてるから。
バックハグで俺に全体重をかけてくる大型犬に律儀に構ってたら日が暮れる。
一歩ずつ着実に商品開発部へ近づくことで、彼との会話を切り上げる狙いや。
「先輩は何してたんすか？」
「別にいつも通りよ。今は冬の新作作ってる」
「今 春なのに？」
「そう」
まぁ大きい弟ができたみたいで嫌やないねんけどな。
……淳太にぃが俺にすごく構ってくるのも、こういう気持ちなんやろか。
父性というか、庇護欲というか。
離れて暮らす兄のことを思い浮かべる。
「またサンプル渡すと思うからそのときはよろしくな」
「はい！責任持ってお客様にお届けします！」
その言葉に頷いて、のんちゃんを引き剥がす作業に。
別に地方に異動になったわけでもないんやから、すぐ会えるのにな。
離れるといっつも寂しそうな顔するの、まぁ俺も俺で悪い気しない。
「そういえば先輩、」
「ん？」
「重岡さんと何かありました？」
……シゲオカサントナニカアリマシタ？
「な、え、なに？」
口から出たのは間抜けすぎるほどにうわずった疑問符。
これじゃあ否定してるとは到底思われないやろな。
「重岡さんと最近仲良いって聞いて。何かあったんかなぁと」
「いや、まぁ普通に上司やし…誰からそんなこと聞いたん」
普通に…(結婚から逃れるために俺と付き合ってるフリをしてくれと頼んできた)上司、ですよ。
「清水ちゃんから聞きました。同期で趣味も合うしよく話すんすよね」
「へぇ…」
触らぬ神に何とやら、俺は下手に相槌を打つのを放棄してさっさと自分のデスクに戻った。
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ナナセ(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。完結まで漕ぎつけられたのはあさんを始め、たくさんの方が読んでくださったおかげです！最後までお付き合いいただきありがとうございました☺️ (8月22日 9時) (
レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - ゆきのさん» コメントありがとうございます。赤さんは途中から💚さんへの気持ちに自覚が出てきたので、だんだん会いたいだけで誘うようになったし、キスもそういうことです🙊 最後までお付き合いいただきありがとうございました！ ぜひ次回作もお付き合いくださいませ！ (8月22日 9時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - foolさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまって申し訳ありません💦 緑さん可愛いファンクラブ(自称)なので嬉しいですー！ (8月22日 9時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
あ - 初コメ失礼いたします。完結おめでとうございます！緑くんの恋が実って良かったです😭今回も素敵な作品ありがとうございました！ (8月21日 20時) (レス) id: f17f5e7704 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - もともと緑くんが好きだったから、見えない所でも恋人っぽく振る舞ってたのかと思いきや、天然だったのはちょっとビックリ。罪な男…！付き合い始めて、青くん達にも紹介したんだろうなとか、色々妄想したくなっちゃいます。次回作も楽しみにしています。 (8月20日 1時) (レス) id: 22105fbc41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2023年7月14日 22時
