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一ヶ月って長いようで短い。
そんな当たり前なことに気づいたのは先輩の偽装恋人を始めて二週間経ってからのこと。
もう半分。したことといえば先輩の家でゲームして、俺の家で映画を見たことくらい。
『西口の改札で待ってる』
その文字を見とめて、俺は電車を降りた。
「どんなんがいいとかある？」
「わかりやすいのは色違いのやつとか、イニシャル入ってるやつじゃないですか？」
お揃いのマグカップは口約束で終わるかと思った。
土曜日の朝、ケロッとした顔で“おはよー”なんて言う先輩を見たら前日のことが全部嘘に思えてしまったから。
別の部屋で寝て、一緒に朝ごはんを食べる。
お泊まりというより下宿のほうがいっそ近いのかもしれない。
「そぉね、神山何色が好き？」
「何色でも好きですよ。でもお揃いのマグカップなんて大体色の相場決まってません？」
流星の言葉は何となく頭に残っていて。
俺、今先輩に現在進行形で傷つけられてるんかな、なんてぼんやり考える。
多分この一週間、少しだけ俺はぶっきらぼうで、でも先輩はきっとそんなこと何も気づいてない。
「うーん…あ、これどう？赤と緑。俺 赤好きやで」
「いいですね」
「クリスマスカラーやな」
「確かに。あったかそう笑」
「雑な感想やなぁ」
あ、Kあるで。そう言って先輩が棚の奥に手を伸ばす。
「Kやなくて、」
「ん？」
「……Tです。下の名前」
「っあ、そっか、そうやな、こういうの苗字やないよな」
なんでか照れたようにほっぺた赤くしながら先輩はぶんぶんと頷く。
「俺に下の名前があるの初めて知りました？」
「へっ？」
「いや、そんな感じの反応だったから。もしかして苗字 神、名前 山とか勘違いされてたのかなって」
「ちゃうわ！」
「んふふ、揶揄っただけです。そんなムキにならんとって」
ただの仕事の先輩と後輩やもん。
下の名前なんて、普段絶対に意識しない。
「変なこと言うけどさ、神山も彼女には下の名前で呼ばれてんのかなとか考えたの。俺にとっては“神山”でもその人にとっては“智洋”で……俺の知らない神山がいるんやな、なんて。いやなんかめっちゃ恥ずいわ！やっぱり忘れて！」
「…、」
俺、智洋って呼ばれたことないですよ。
小さく呟いたその声は、先輩に届いていたやろか。
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ナナセ(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。完結まで漕ぎつけられたのはあさんを始め、たくさんの方が読んでくださったおかげです！最後までお付き合いいただきありがとうございました☺️ (8月22日 9時) (
レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - ゆきのさん» コメントありがとうございます。赤さんは途中から💚さんへの気持ちに自覚が出てきたので、だんだん会いたいだけで誘うようになったし、キスもそういうことです🙊 最後までお付き合いいただきありがとうございました！ ぜひ次回作もお付き合いくださいませ！ (8月22日 9時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - foolさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまって申し訳ありません💦 緑さん可愛いファンクラブ(自称)なので嬉しいですー！ (8月22日 9時) (レス) id: 775b763c2b (このIDを非表示/違反報告)
あ - 初コメ失礼いたします。完結おめでとうございます！緑くんの恋が実って良かったです😭今回も素敵な作品ありがとうございました！ (8月21日 20時) (レス) id: f17f5e7704 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - もともと緑くんが好きだったから、見えない所でも恋人っぽく振る舞ってたのかと思いきや、天然だったのはちょっとビックリ。罪な男…！付き合い始めて、青くん達にも紹介したんだろうなとか、色々妄想したくなっちゃいます。次回作も楽しみにしています。 (8月20日 1時) (レス) id: 22105fbc41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2023年7月14日 22時
