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#29 ページ29

「…あの、そういえば恋人居たの知ってます?」
「それは…ともに?」
「はい。弟のこんな話、あんまり聞きたくないかもしれないんですけど」

その言葉に首を振る。
俺以外の誰かと関係を持っていたのかもと思うと怖かったけど、それよりもともの考えが知りたかった。
どうして俺を置いていったん。
一人だけ、地獄を抜け出してどこ行ってしまったん。

「高2の夏?秋?くらいに、恋人できたって言ってて。まぁよくある話やと思うんですけど」
「うん」
「俺、見たんです。てか、見せられた?俺の家の前でキスしてるところ。窓の外見ててって意味わからん連絡が10分くらい前に来たので。金髪やったし顔もばっちり見えました。相手の方は暗くてわからなかったけど、多分男性…かと」

…俺や。
あの日のことを思い出す。
冬の寒い日、二人で肉まん買って。
外でキスなんてあかんって言ったら拗ねて帰ってしまったっけ。

「次の日聞いたら、“見えた?”って嬉しそうに。確信犯でした」
「なんでわざわざ…」
「“俺だけの夢やないって、流星が証明して”みたいな、そんなこと言われました。証明って何やねんって思ったから、結びの言葉は確かです」

証明?
俺とともとの関係の?
そんなん別に、わざわざキス見せつけなくてもええやんか。

「あんま変な行動する子やないからずっと不思議で。でも今わかったような気がします。俺がお兄さんに話すの見越してたんやないかって。出て行ったんも、その人についていったのかも」
「…そっか、ありがとう」

俺、上手に笑えてるやろか。
ついていったどころか、置いてかれてるんやで。
なぁ、とも。どういうことなのか説明してや。

惰性みたいで流れる日常、心が強く動くこともなくなったのに。
鼻の奥がつんとなる。泣きそう。

「ごめんな、変なこと聞いて。ともと連絡ついたら、藤井くんにも伝えてええかな?」
「もちろんです。俺も心配なので」

とももあの日の思い出を、夢みたいって思っていてくれてるなら。
きっと出て行ったりはしなかったよな。

「……悪夢、ってか?」

とものこと、余計わからなくなった。

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ナナセ(プロフ) - 7129さん» お返事遅くなってしまってすみません💦 コメントありがとうございます。ぜひ最後までお付き合いくださいませ◎ (2022年10月27日 17時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
7129(プロフ) - ナナセさん!待ってました〜🙌読み始める前から胸がぎゅんぎゅん締め付けられてます…月水金、楽しみにしてます!!! (2022年10月25日 22時) (レス) @page4 id: f02b13cfb6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナナセ | 作成日時:2022年10月24日 14時

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