#38 ページ8
「神ちゃん！元気になったみたいでよかった」
神ちゃんと二人、楽屋の扉を開けるとそんな明るい声に出迎えられた。
ドラマ撮影の後は毎月お世話になってるアイドル誌の撮影。
既に着いていた淳太が嬉しそうに笑う。
「お見舞い行かれへんかったから心配しててん。皆、メールで様子教えてくれてたけど…」
「えぇ、逐一メールしてたん？そんなんええのに」
「見る？神ちゃんの寝顔もあるで」
「嫌やぁ、消して！」
大阪から帰ってきた淳太がお見舞いに行こうとしたタイミングは、ヒートがピークで病室に入れへんかったから。
かなり心配してたんやないかな。
神ちゃんの元気な姿を見て、淳太はほっとしたように息を吐いた。
「皆、聞いて欲しいことがあるんやけど」
七人全員揃ったところで、神ちゃんが口を開いた。
入院最終日に二人で話し合って、メンバーには俺らの関係のこと、言おうってなった。
もちろん、メンバーが薄々気づいていることは神ちゃんに言った。
けど、神ちゃんはちゃんと報告したいって。
「今まで秘密にしててごめんなさい。俺の番、しげやねん」
誰も茶化したりしない。
楽屋は、真剣な静寂に満ちている。
「けど、俺らが番になったのは事故で、まだずっと若い頃で…好きとか、そういうんやなかったの。やから、しげとどうこうってわけやないから。…けど、一応、しげが俺の番です」
「俺からも、今まで何も言わなくてごめん。こういうこと言って、仕事に支障が出るのが嫌やってん。でも神ちゃんがこの間倒れて、やっぱりメンバーには知っててもらったほうがええんやないかって話になった」
神ちゃんが俺を見て、微笑んだ。
「恋人居るって言うのも嘘。番居るのに、その人と恋愛してないって言ったら心配させるかなーって思ったから。でもこれで、メンバーへの隠し事は終わり。もうぜーんぶ話したから、な？」
一個言ってしまえば、楽になったんかな。
このまま、不安も隠さず話してくれるようになればええけど。
「俺としげの関係はこれからも、メンバーのまま、変わらずやから。そこは心配せんといて？」
神ちゃんは真っ直ぐ小瀧を見て言う。
俺からは何も言ってないけど、あの日の衝突のこと、神ちゃん知ってるんかな。
「…やから、もし俺が辛そうにしてても、しげのこと責めんといて。しげはなぁんも悪くないねん」
俺にはその庇う言葉が、どうしても壁に聞こえてしまう。
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ナナセ(プロフ) - いか天太郎さん» コメントありがとうございます☺ こちらこそ、拙作にお付き合い頂きありがとうございました！ぜひこれからもお付き合いください〜😍 (2022年2月10日 10時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
いか天太郎 - 完結おめでとうございます。一気に拝読させて頂きまして、今、ため息しか吐けません。素晴らしい作品をありがとうございました。 (2022年2月8日 6時) (携帯から) (レス) id: f6711a1d35 (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - しずくさん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉、とても励みになります😊 拙い作品ばかりですがぜひこれからもこれからもお付き合いくださいませ◎ (2022年2月4日 11時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - stcさん» コメントありがとうございます！番外編も前向きに検討したいと思います☺最後までお付き合いいただきまして本当にありがとうございました！ (2022年2月4日 11時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - ナナセさんの作品がめちゃめちゃ大好きで連載が始まるたびに歓喜しておりました。今回の作品も毎日楽しみにしながら苦しくてドキドキして、最後幸せな気持ちで読み終えることができました。いつも素敵な作品をありがとうございます。これからも応援しています！ (2022年2月3日 21時) (レス) @page32 id: c3e8ccce2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2022年1月8日 11時
