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こんな話してごめん、と言われるくらいには俺の顔は上手く笑えてなかったらしい。
接客業やもん、切り替えていかなきゃ。
「神ちゃぁん、ちょっと」
「はいはーい」
厨房の流星に呼ばれて売り場を後にする。
今の時間は混んでなくて、というか、お客さんをひたすら待つ状態で、(閉店時間間近) さっきからのんちゃんはあくびを噛み殺してる。
厨房に呼ばれて雑用する方が何倍も時間が過ぎるのが早くて、気持ち的に楽。
「そこにあるやつ洗ってくれへん？」
「おっけい」
明日の仕込みが終わって、後片付けに徹する頃。
黙々と二人で洗い物をこなしていく。
「淳太さんは？」
「今は来月のシフトとか、諸々事務作業」
「そっか」
一ヶ月早いなぁ、とどちらともなく呟く。
「コンクールの作品と来月の新作、同時進行で作らな」
「来月はもう秋の果物？」
「うん、去年は洋梨やった」
隣のシンクでせかせかと包丁やスパチュラを洗いながら、流星が細々と中身の解説をしてくれる。
「あー、あれ美味しかったよな」
夏が終わって秋が来る。
少しずつ日が暮れるのが早くなって、夜は肌寒くなってくる。
焦りにも似た寂しさを覚えるのは、想像する未来、隣に大毅がいないからやろか。
「今日さ、コンクールの試作品作ろうと思うんやけど付き合ってくれへん？」
「え？俺が？」
「うん。甘いもん好きやろ？俺途中で胸いっぱいになってまうから、味見要員」
外はもう真っ暗。
今日は大毅がシュウの迎えで、ご飯も彼が用意してくれることになってたけど…。
「家のこともあるやろけど、まぁちょっと考えてみて」
「…うん、わかった」
頼み事には弱い。それが仕事のことなら尚更。
本気で菓子作りに向き合ってる流星を近くで見てきたから、それに貢献したい気持ちも勿論ある。
閉店したら大毅に連絡入れてみよう。
“やだ。男と二人きりなんて嫌”
何となく、頭で想定した返信は、付き合ってた頃の距離感のままで。
きっと、そんなこと言われへんよな。わかってる。
了解。と小さな吹き出しに収まったメッセージに、心の奥底がツキンと痛むのを感じる。
ほんま俺、自分勝手や。どうしようもないな。
「…神ちゃん？」
「オッケー貰えた。流星の試作品作り、付き合うで」
「朝までかかっても？笑」
冗談めかして流星の眉が上がる。
でも、ある程度長丁場になるのは覚悟してるから。
「最後まで、ちゃんと付き合う」
俺の言葉に、流星は嬉しそうに笑った。
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ナナセ(プロフ) - ナナイロさん» コメントありがとうございます。もったいないほどの褒め言葉！嬉しいです涙 次回作もぜひよろしくお願いいたします◎ (2021年10月19日 11時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - ななはちさん» コメントありがとうございます。ちょっと捻った始まりにしたかったのですが、無事に楽しんでいただけてよかったです◎ ぜひ次回作もお付き合いくださいませ！ (2021年10月19日 11時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
ナナイロ(プロフ) - 完結おめでとうございます！最初から最後まで全部が好きでした！最後は幸せなかみしげが見れてキュンキュンしました♪次回作も楽しみに待ってますね！ (2021年10月18日 19時) (レス) @page32 id: e8246d4427 (このIDを非表示/違反報告)
ななはち(プロフ) - おまけの完結、おめでとうございます！！別れる所から始まるお話、どうなるんやろって思いながら読みすめて、最後は｢そうきたか！｣と言ってしまう位の展開で最高でした！次のお話はオメガで…楽しみにしてます！！！ (2021年10月18日 14時) (レス) @page32 id: ef79629cea (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - りえさん» コメントありがとうございます。こちらこそ毎日お付き合いいただきありがとうございました！番外編もよろしくお願いします◎ (2021年10月17日 11時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2021年9月25日 11時
