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何とかシュウを宥めてピョーン登園は回避した。
俺も俺で出社する準備せなあかんから、仕事中の大毅の邪魔にならないよう速やかに身支度を済ませる。
「行ってきます」
「ん、行ってらっしゃい」
パソコンに向き合う後ろ姿に声をかければ、ご丁寧にも振り向いて、そのまま玄関まで送ってくれる。
「ええのに。仕事中やろ？」
「挨拶は大事」
「はいはい」
もう何度も言われたその言葉に頷いて、ドアに手をかける。
「気ぃつけてな」
「うん。大毅も、仕事がんば」
家を出る時に唇が触れないのはもう慣れた。
彼と別れて数週間。
ずっと近くに居るのに、体温が伝わらない距離。
手を振る大毅の姿をかき消すように、ドアを閉める。
「……行ってきます」
口の中で小さく呟いて一歩踏み出す。
日焼け止めを塗った肌に、日差しが容赦なく降り注いだ。
・
「お疲れ様でーす」
バックヤードに入ってきたのんちゃんの片手には、アイスコーヒー。
イケメン高身長やとそれだけで絵になる。
「お疲れ様です」
「神ちゃん、相変わらず早いな」
「そういうのんちゃんやって」
遅刻したら困りますからね。
二人して早すぎる出社に、お互い苦笑いする。
「どうなん？新しい家は」
「…あー、っと、まだ住んでないねん」
「へぇ。何？月初やないと入れへんとか？」
「いや…その…」
元恋人の甥を一緒に預かることになったので、まだもう少しの間同棲します。
…と、いう事実の重さよ。
「やっぱり別れたくなくなった？」
「ちゃう！」
「そんなすぐ否定せんでも。笑 お相手が悲しむで」
「そうやねんけど…まぁ、ちょっと事情があって…あっちの甥を預かることになったんよ」
あ、人間ってほんまに驚くと(戸惑うと？)でかい声出ないんや。
固まってしまったのんちゃんに、おーいと手を振ってみる。
「…それ、どういう感情？」
「は？」
「神ちゃんはどんな気持ちでその子預かってんの。てか、どんな気持ちで元彼と暮らしてんの」
「どんな、って…」
思ってもなかった質問に戸惑う。
どんな気持ち、どんな気持ちなんやろ。
「神ちゃん。俺は別れた理由も経緯も知らない。やから的外れなこと言うかもしれへんけど…」
神ちゃん、元彼に変に期待させたりしてへん？大丈夫？
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ナナセ(プロフ) - りっつさん» コメントありがとうございます◎ ぜひ床を転げ回っても大丈夫なところ(?)で閲覧してください！笑 (2021年8月31日 11時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
りっつ(プロフ) - ああもうすでに好きすぎて涙出そう。ここ、飯屋ですが床を転げ回りたいです。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: d038e49da9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2021年8月27日 11時
