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#07 ページ7

帰り道も、しばらく保育園での出来事を話していた。
顔を知らん子供達の名前を覚えるのは一苦労で、さっきから頭の中はプチパニック状態。
今日ハンカチ貸してくれたんは、ユリちゃんやっけ?ミナちゃんやっけ?

「ほんでなぁ、ママ、今日の朝ごはん、人参出したんやで」
「シュウくんは人参嫌い?」
「だいっきらい!」
「えぇ、なんで?」
「へんな味するから」

うーん、とはいえどこかのタイミングで食べさせなあかんよな。
まさか1ヶ月人参と無縁の生活を送るわけにもいかへんし。
人参のレシピを脳内で検索している間に、シュウくんの意識は別へ移ったらしい。

「なぁ、なんでトモはシュウくんって呼ぶん?」
「なんで…うーん、じゃあ何て呼ばれたい?」
「シュウでええのにって思う」
「そっか。ほな、シュウって呼ぶな」

シュウくん…、シュウから歩み寄ってもらって、情けないな。
ちょっと申し訳ない気持ちになる。

「シュウ」
「はーい!」
「ふふ、今から電車乗るんやけど、俺とゲームせぇへん?」
「なぁに?」
「しゃべったら負けゲーム。先に喋った方は、お家帰ったらくすぐり地獄やで〜」

俺の提案にシュウは嬉しそうにきゃっと声を上げる。
こんな方法で毎日の帰宅を乗り越えられるとは思えないけど、とりあえず初日は。



ガタンゴトン、ガタンゴトン。
走行音だけが響く車内で、シュウは大人しくしていた。
ずっと立ってるのは大変やろから、抱っこを申し出たけど、子供やない!の一言で拒否された。
もう、その言い方と表情がほんま可愛えねん…!(親バカ体質)

少しウトウトし始めたシュウが周りの人にぶつからんように俺の方に引き寄せる。
気ぃ張ってたんかな、俺もちょっと眠い。笑

18時過ぎでもまだ少し明るい空を眺めながら、シュウの頭を撫でる。
さわやかな、子供特有の汗の匂いがした。

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ナナセ(プロフ) - りっつさん» コメントありがとうございます◎ ぜひ床を転げ回っても大丈夫なところ(?)で閲覧してください!笑 (2021年8月31日 11時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
りっつ(プロフ) - ああもうすでに好きすぎて涙出そう。ここ、飯屋ですが床を転げ回りたいです。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: d038e49da9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナナセ | 作成日時:2021年8月27日 11時

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