#25 ページ25
「やだ！食べたくない！」
「こーら。シュウ、食べな大きくなれへんで」
「良いもん別に」
俺が箸で摘んで差し出した人参に、シュウはふいっと顔を背ける。
もちろんそれだけで出したわけではなく、ポテトサラダにして出したんやけど…見事に人参だけ避けてくれました。涙
皿の上には、二、三個の人参の山。
「俺やって嫌いなキュウリ食べたで？マヨネーズの味で美味しくなってるからさ、一口、な？」
大毅も声をかけるけど、シュウは嫌〜な顔のまま。
さて、どうしたものか。
「わかった！ほんなら俺も一緒に人参食べる」
大毅はそう言うと、シュウの皿から一つ人参のかけらを取る。
俺の手元に一つ、大毅にも、そして
「……」
不満そうなシュウの箸の間にも。
「よし、いくで。せーの」
こういうところ、シュウは偉いよなって思う。
眉間に皺を寄せながらも、ちゃんと口に運んでもぐもぐ。
「ど？」
「…きらい」
「はは、やっぱりかぁ。まぁそんな急に好きにはならんよな」
人参を前に俺の料理は無力で。
初めてシュウにご飯美味しく食べてもらえなかったかも。
しゃあないっちゃしゃあないけどなぁ。
「でも食べれて偉かったで」
シュウの頭を撫でてあげると、嬉しそうに目を細める。
「とも、俺もキュウリ食べた」
「うん」
「食べた！」
頭をずいと差し出してくるから、ちょっとだけ乱暴に撫でる。
大毅の髪に触れるのいつぶりやろ。
そう思い返すけど、別れて二週間くらいしか経ってないから、多分二週間ぶり。
「シュウは人参食べれて偉かったし、俺もキュウリ食べたし。ともは…」
「俺？」
「知ってんで。この間、シチュー作るために牛乳買ってきたこと」
ずるいわ。
やって、シュウも大毅も苦手なものちゃんと食べて、俺だけ逃げれるわけないやん。
「トモ、牛乳きらいなの？」
「いや…まぁ…うーん…」
シュウのまっすぐな視線を受けたらもう、為す術もなく。
「ふふ、じゃあそういうことで♪」
大毅は嬉々として冷蔵庫に向かった。
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ナナセ(プロフ) - りっつさん» コメントありがとうございます◎ ぜひ床を転げ回っても大丈夫なところ(?)で閲覧してください！笑 (2021年8月31日 11時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
りっつ(プロフ) - ああもうすでに好きすぎて涙出そう。ここ、飯屋ですが床を転げ回りたいです。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: d038e49da9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2021年8月27日 11時
