#18 ページ18
「…寝てる」
そっか、そうよな。
子供向けのアニメはとうに終わって、ニュースが流れていた。
テレビを消して制服から私服に着替える。
シュウにはほんまに悪いことをした。
ただでさえお父さんお母さんに会えなくて寂しいだろうに。
ごめんな、と小さく呟きながらシュウの黒髪を撫でる。
サラサラと指先からこぼれて、彼の丸い頬に影を落とす。
「お疲れ〜……え？」
「流星。お疲れ」
「え、神ちゃんいつ産んだん」
…どこから突っ込めと。
俺とシュウを見比べて驚いた顔をする流星に苦笑いを返せば、彼もへらっと笑う。
「ごめん冗談。何？親戚の子？」
「んー、まぁ。同居人の親戚、やけど」
「…へー」
何かもの言いたげな視線。
それから逃れるように、ロッカーのドアを閉める。
「流星はまだ残るん？」
「いや、帰る。もう材料ないし」
「明日の仕込みは？」
「淳太さんが。…もうそろタイムカード切らな、やばいから」
「そっか」
シュウのこと、おんぶして帰らな。
心の中で気合を入れて、荷物を肩にかけた俺を流星が引き止めた。
「車乗っていかん？送るで」
「え、いや…悪いわ」
「ええよええよ。大変やろ」
でも…と俺が戸惑っていると、流星は小さく笑う。
「神ちゃん、可愛くないよな」
「男が可愛くてたまるか」
「そういうところ。何で全部一人でやろうとすんの」
痛いところを突かれて言い返す言葉が出てこない。
甘えるのが下手なんて、もう二十何年生きてきて自覚は嫌というほどある。
「同居人サンに甘えられないなら俺のこと頼ってや」
流星はシュウを抱える。
少しだけ身じろいで、またシュウは寝息を立て始めた。
「…ごめん」
「俺が欲しいのはそれやない」
「あ、りがとう…」
俺の言葉に嬉しそうに笑うと、流星は駐車場へ向かった。
運転席の後ろにシュウを乗せ、その隣に座る。
「じゃ、発進すんで」
「お願いします」
緩やかに加速し始めた車。
ついていたラジオの音量を流星がそっと下げる。
「この子、いつから面倒見てるん？」
「十日前くらいから、かな」
もうそんな経つのか。
自分で言っておいて驚く。
3分の1。あと20日、か。
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ナナセ(プロフ) - りっつさん» コメントありがとうございます◎ ぜひ床を転げ回っても大丈夫なところ(?)で閲覧してください！笑 (2021年8月31日 11時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
りっつ(プロフ) - ああもうすでに好きすぎて涙出そう。ここ、飯屋ですが床を転げ回りたいです。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: d038e49da9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2021年8月27日 11時
