#17 ページ17
「シュウ！お待たせ！」
「もー、トモおそい、待ちくたびれた」
「ごめんて。そんなほっぺた膨らませんといてやぁ」
久しぶりに走って少し息が切れてる。
それに気づいたらしいシュウは、不機嫌な顔から一転、心配そうな顔になる。
「おしごと、忙しかったん？」
「ん、ちょっとな。なぁシュウ、今からともの仕事するところ、一緒に行ってくれへん？」
「どうしよっかなぁー」
ニヤニヤ。
笑いながら靴をせっせと履く。
これは好意的な返事がもらえそう。
「ええよ！」
「ありがとう！シュウは優しいわぁ」
靴が履けたのを見計らって、照史先生に挨拶する。
「遅くなってしまいすみませんでした」
「いいえー。連絡よりずっと早かったですし」
「へ？」
「あ、重岡さんがね、ちょっと立て込んでるみたいやから、30分くらい延長お願いしますって言ってはったから」
「そう、なんですね」
シュウがクスクス笑う。
「やからほんまは待ちくたびれてなんてない！」
「せやなー？シュウくん、いい子に待てたもんな？」
「うん！」
にこにこ笑う二人に救われる。
後で大毅にお礼の連絡入れておかなきゃ。
・
「シュウ、ごめんな。ちょっとこの部屋で待ってて」
「はーい」
アルカンシェルのバックヤードには大して面白いものはない。
隅の方にある存在すら忘れられたようなテレビをつけて、教育番組に合わせておく。
そもそも何で置いてあるのか謎やけど、今日ばかりは助かったわ。
「仕事終わったらすぐ戻ってくるから」
…いつ終わるか、わからへんのやけどな。涙
バックヤードを出たら、すぐに戦場が戻ってくる。
のんちゃんは俺を見とめると、小さく手を挙げた。
「わかったで、こんなに混んでる理由」
「何？」
「インフルエンサーがうちのケーキを紹介してたんやって」
「へぇ…」
手元の動きは止めずに言葉を紡ぐ。
「やから、見慣れない顔の方が多いやろ？」
「たしかに」
てことは、数日はこの忙しさ。
ほんで、波が過ぎればまた元に戻る、か。
安定しない収益はあまり嬉しくない。
…やから、この人たちがリピーターになるように。
「お次お待ちのお客様、こちらのレジへどうぞ！」
いつも以上に明るい声でそう告げる。
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ナナセ(プロフ) - りっつさん» コメントありがとうございます◎ ぜひ床を転げ回っても大丈夫なところ(?)で閲覧してください！笑 (2021年8月31日 11時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
りっつ(プロフ) - ああもうすでに好きすぎて涙出そう。ここ、飯屋ですが床を転げ回りたいです。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: d038e49da9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2021年8月27日 11時
