#12 ページ12
「しゅーうー！帽子かぶって！」
「嫌！」
「頭アチアチになってまうで？」
帽子片手にシュウを追いかける。
休日の公園は家族連れで賑わっていた。
「近所の寂れた公園とは訳が違うな。滑り台、順番待ち必要なんちゃう」
「ほんまやなぁ」
なんとか捕獲したシュウの頭に帽子を被せる。
暑いから被りたくない気持ちもわかるけど、誰かさんみたいに真っ黒な髪は、たぶんそのままにしておくと熱を吸収しまくるから。
「ダイキ！トモ！ふんすい！」
キラッキラした顔で指さすのは、コンクリート部分に設置された水遊び場。
時々高さの変わる水の柱と、シュウと同世代の子供たちが楽しそうに戯れている。
「行ってもええ？」
「うん。靴と靴下、お水の近くで脱いでな」
大毅に任せて、俺は木陰のベンチに座る。
ボールも持ってきたけど、あれはしばらく水遊びやな。
あ、タオル用意しとかな。
まだ日差しが強くて暑い。
シュウには帽子を被せたけど、大毅にも帽子、持って来させればよかった。
「トモー！」
「わ、びしゃびしゃやん！」
こっちに手を振るシュウの短パンの裾の部分は、遠目で見てもわかるほど色が濃くなっている。
暑いとはいえ風邪ひくやんか。まさか、着替えが必要なほどはしゃぐとは。
「服、家戻って取ってくるわ」
「ごめん、ありがとう」
「…オニーサンの分も要ります？」
「あー、いや、だいじょ」
うぶ、の前にシュウが掬った水を大毅にかける。
ここ数日、ヤンチャ坊主に拍車がかかってきたな…。
「…お願いします」
「はーい。笑」
・
・
シュウが来てから賑やかになった家。
自分一人で戻ると途端に静かで寂しい気持ちすら感じる。
一人暮らししたら、毎日“こう”なのか。
「…っと、ズボンと靴下…あと大毅のTシャツ…」
独り言を呟きながらクローゼットの戸を開ける。
一応シュウの下着も持っていった方がええやろか、でも着替えるところないし…
ぐるぐる渦巻く思考を打ち消すように家の電話が鳴る。
「今…！？」
別に急ぐわけやないけどさ。
リビングに行って子機を手に取る。
「はい、もしもし」
『もしもし。うちのシュウがお世話になってます』
低い男性の声。
…あ、大毅のお義兄さん。
「ごめんなさい、シュウくん今公園に遊びに行っていて____」
「あぁ、シュウに電話したんじゃありませんよ。神山さん、あなたに用があってかけたんです」
「俺に…ですか…？」
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ナナセ(プロフ) - りっつさん» コメントありがとうございます◎ ぜひ床を転げ回っても大丈夫なところ(?)で閲覧してください！笑 (2021年8月31日 11時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
りっつ(プロフ) - ああもうすでに好きすぎて涙出そう。ここ、飯屋ですが床を転げ回りたいです。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: d038e49da9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2021年8月27日 11時
