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「やっぱり俺、お前が居らんと寂しいねん…!」
のんちゃんの声がバックヤードに響く。
「一年振りの再会、お釣り渡した神ちゃんの手首をぎゅっと握って____」
「ストップ!ストップ、ストップ!何?どしたん、なんの話?」
「え?シューアイスの話」
悪びれもしないイケメンは、当たり前のように言葉を続ける。
「やって、来年またシューアイス販売する時期に、彼氏さんお店来るんやろ?」
元彼な、とわざわざ訂正するのは寂しいから目を瞑っておく。
「別に、俺が勤務の時とは限らないし…」
「俺が出勤スケジュール教える」
「連絡先も顔も知らへんくせに笑」
俺の言葉に、のんちゃんはくいっと眉を上げた。
「連絡先は知らんけど、顔は知ってるで」
「え、何で」
「何年か前に神ちゃんが家出したやんか。そん時に、ここに来てませんか!って焦った男前が彼氏、やろ?」
「あー、そんなこともあったな」
その頃にはもうのんちゃん、働いてたんやっけ。
まだ学生でバイトとして働いてた頃か。
「あん時、神ちゃんってすごい幸せ者やなーって思った」
ふっ、とのんちゃんの視線が遠くへ行く。
当時のこと、思い出してるんかな。
「彼氏さん、一生懸命探してたらしくて汗だくで。大変やなぁって思ってたら、すんごい嬉しそうに“本心に触れられた気がする”って言ったん。“初めてわがままに振り回されてる気がして楽しい”って」
ちょっとだけずれた感想。
でも、そっか。
俺のこういう、大事なことを言わずに逃げ出してまうところ、付き合ってて何度も顔を出してたんやな。
それを大毅は何度も受け止めてくれてた。
それやのに今、また逃げ出して、そのくせ受け止めてくれるのを拒んでる。
「…こっぴどく叱られたけどなぁ」
「そりゃそうやろ。嬉しいったって、心配なのは当たり前」
あの頃の大毅、前髪ちょっと切りすぎてて可愛かったな、とか。
いろいろ、いろいろ思い出してなんだか心がぎゅってなる。
「やけど、神ちゃんのめんどくさいところにちゃんと真正面から振り回されてくれて、神ちゃん、ええ人に出会ったんやなって思ったから」
「めんどくさいて、のんちゃんに言われる筋合いはないけど。…まぁ、そう思う、ええ人やな」
きっと、これからも彼は。
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ナナセ(プロフ) - りっつさん» コメントありがとうございます◎ ぜひ床を転げ回っても大丈夫なところ(?)で閲覧してください!笑 (2021年8月31日 11時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
りっつ(プロフ) - ああもうすでに好きすぎて涙出そう。ここ、飯屋ですが床を転げ回りたいです。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: d038e49da9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナナセ | 作成日時:2021年8月27日 11時