#30-green ページ30
駅ビルにある、コーヒーチェーンに入った。
さっきとは少し違う意味で心臓がどくどく鳴ってる。
目の前でカフェラテを飲むのはよく知った重岡くんの姿。
やけど、彼は俺の憧れるニラ玉pさん。
「話って？」
何でもないような顔をして重岡くんは言うけど、どうしたらええかわからへん。
頭パンクしてまうわ。
重岡くん、として俺に告白してくれたのに。
俺はニラ玉pさんという人格に惚れて、告白しようとしてる。
「……ニラ玉pさんのことが好きでした」
重岡くんはくしゃっと切なく笑う。
「ニラ玉pが俺って知って、好きやなくなった？」
「っ、ちがう、違う。そんなことない」
重岡くんと一緒にピアノを弾いたの、すごく楽しかった。
会話のテンポやって、すごく心地良い。
…でも、なんか、ずるいなって。
ニラ玉pさんって知ったから、重岡くんのこと好き、みたいな。そんなんずるいやんか。
「今何考えてる？」
「へ、」
「ちゃんと知りたい。歌ってくれてもええけど、できたら言葉で」
真っ直ぐ見つめられたら、本音しか言えなくなる。
取り繕うことなんてできなくて。
「ずるないよ、ほんなら俺の方がもっとずるい。…今、神山くんの気持ち聞いて期待した」
もしかしたらまだチャンスある？って。
神山くんのこと諦めなくてもええのかな、って。
「ニラ玉pじゃない、高校生の俺のことはおいおい好きになってや。お試しでもええからさ、俺と付き合ってくれへん？」
差し出された手。
それが少し震えていて、なんだかそれがすごく愛おしく思えた。
「…よろしく、お願いします」
誕生日の日に、大好きな人に会えて。
ちょっと変な形とはいえ両思いで、恋人になれて。
…こんな幸せでええんやろか。
「ん？」
思わずぽつりと呟いた言葉は、重岡くんの耳にはうまく届かなかったらしい。
「いや、ええ誕生日やなぁって」
「た、え、誕生日？」
「おん」
「えっ何で言ってくれへんかったん」
「あー、そういやそんな話せぇへんかったなぁ」
「いやいや！めちゃくちゃ大事やん！」
何もプレゼント用意してへん…！って重岡くんは慌て始める。
「ええよ、プレゼントなんて。俺充分幸せもらったし」
「俺があかん！そういうのはちゃんとしたいタイプやねん」
あ、重岡くんの新しく知ったところや、そこ。
思わず緩んだ口元を隠そうと、持ち上げた手が重岡くんに攫われる。
「初デート。誕生日プレゼント選びに行くで」
「…うん、」
少し不思議な三角関係。
それは見事にまぁるく収まりました、とさ。
【インターセクション。／fin】
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ナナセ(プロフ) - りこさん» お返事遅くなってしまいすみません。コメントありがとうございます◎ 進路など、書ききれなかった部分があるので、番外編前向きに検討いたします！ 最後までお付き合いいただきありがとうございました！ (2021年7月3日 10時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても素敵なお話で、幸せな気持ちになりました。ありがとうございました。もし叶うのであれば、2人のその後や進路など、番外編のような形ででも読ませて頂けると嬉しいなと思っています。お疲れ様でした。 (2021年7月2日 12時) (レス) id: 0231a09a99 (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - ハル７さん» コメントありがとうございます。完全に趣味でゆるゆる書いているだけなのでそんな勿体ないお言葉…！汗 ぜひこれからもお付き合いください！ (2021年6月9日 11時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
ハル７ - 新しい作品が始まって、すっごく嬉しいです。無料で読ませて頂いていいの……！？、って思いながら、読んでます。頑張って下さい！！！ (2021年6月8日 21時) (携帯から) (レス) id: f6711a1d35 (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - 名無し86050号さん» コメントありがとうございます！ これから一ヶ月弱どうぞお付き合いくださいませ◎ (2021年6月5日 16時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2021年6月5日 12時
