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「先輩、弁当作ったら食べます?」
各々自由に時間を過ごしているときに、ふと神山が声をかけてきた。
「食べる」
「即答…笑」
「いや、ほんま神山の飯美味いねんて」
実はちょっと期待してた。
今までお弁当やったのに、俺ん家来てから社食で食べていたみたいだから。
どこかのタイミングで弁当復活、あわよくば俺の分も…って。
意地汚い?なんとでも言え。
「あ、でも弁当箱あったかなぁ…」
「ありましたよ、例の“物置”に」
しかも二つ。
そう言う彼の顔は少し得意げ。
「…何でもあるんやな」
「自分の家やろ。笑」
オカンが家来たときに、惣菜詰めて持ってきたやつか。
あん時は絶対要らへんって思ったけど、とっておくもんやな。
「夕飯の残りとか平気で詰めますけど、文句は言わんといてくださいね」
「勿論。作ってもらえるだけでめちゃめちゃありがたい」
・
っていうのが昨日。
神山から受け取った紙袋(弁当用の袋は残念ながら家になかった)はずっしりと重くて、昼飯に期待が募った。
こんな感覚、久しぶりやな。
一人でのご飯なんて味気ないのに、神山が作ったってだけで、一人でも、きっと美味しい。
時計の針がてっぺんに来てすぐ、神山は藤井に連行されていく。
俺も、キリええし食べよ。
箱を開けると、きっちりと綺麗に詰められたおかずたち。
宣言通り、昨夜のきんぴらとかの“アニキ”も入ってるけど、卵焼きに、鶏の照り焼きに、と今朝作られたであろうメンツもちらほら。
いただきます。
心の中で呟いて箸を手に取る。
今頃、場所は違えど神山も同じご飯食べてるのか。
そう思うとちょっとソワソワしてしまう。
別に誰に取られるわけでもないのに、デスクで一人焦ってご飯をかき込む俺は多分、側から見たら変やけど、しゃあない。
神山にはほんまに頭上がらへんなぁ…。
昼食後。
エレベーターでたまたま二人きりになったタイミングで弁当のお礼を言うと、神山はわかりやすく照れた。
白米の上に彩りで添えられていた梅干しくらい真っ赤やった。
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ナナセ(プロフ) - mimimiさん» コメントありがとうございます。ご感想いただけてとても嬉しいです◎ そろそろ後半戦に入ります。ぜひお付き合いください! (2021年5月3日 18時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
mimimi(プロフ) - ゆるやかに穏やかに2人が過ごす日々と、密かに幸せと苦悩を積らせる赤さんとまだ気持ちの描写が少なくて読めないなりに赤さんに助けられ癒されてるのを感じる緑さんと、2人が可愛くて大好きです。更新毎日楽しみにしております! (2021年5月3日 16時) (レス) id: cea37b05b2 (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - camokinokoさん» 夜分遅くのお返事で申し訳ありません。嬉しいご感想ありがとうございます! ぜひ更新お付き合いくださいませ◎ (2021年4月18日 0時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
camokinoko(プロフ) - かみしげ可愛すぎます(^^)作者様のご無理のないよう、更新楽しみにしています! (2021年4月17日 18時) (レス) id: 636c89ef1d (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - かこさん» いつもコメントありがとうございます!ぜひ今回もお付き合いください◎ (2021年4月9日 20時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナナセ | 作成日時:2021年4月9日 10時