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「先輩、俺コンビニ行きますけど何か欲しいものあります？」
あの後、映画が終わって20分ほど経ってから神山は目を覚ました。
一瞬だけしまった！の顔をして、そのあと何ともないように伸びをしていた。最近、神山のマイペースに拍車がかかってるような気がする。
「俺も行く」
「え、良いですよ。代わりに買って来ますし、」
「前も言うたやろ。この辺治安悪いねんて。普通に心配」
「先輩明日早いって言うてましたやん」
「神山に一人で行かせたら心配で寝られへん」
「……」
何とか言いくるめて、二人揃って家を出る。
飲み会の時も思ったけど、どこか警戒心の薄いところがあるらしい。
「てか何買いに行くん？」
「…アイス」
アイス。アイスか。
「そんなん明日買えばええやんって思ったやろ。俺は今この瞬間食べたいんです」
「はいはい、別に言うてへんやん」
「いーや、目が口ほどにものを言ってました！」
唇を尖らせて玄関に向かう神山を慌てて引き止める。
「神山、上着！まだ夜寒いで」
・
御所望のアイス(しかも高いやつ。ストロベリー味)と、一応俺用のプリンを手に神山は嬉しそう。
因みに、一口交換の約束をしっかり取り付けられたので、プリンは実質神山が食べたいだけ。
「今日は星出とらんなぁ…」
「先輩、いつも空模様気にしますよね」
「あー言われてみれば確かに」
ふと上を見る癖はずっと昔からな気がする。
空が綺麗なら、それだけで嬉しい気持ちになるし、反対に曇ってたら自分の気持ちに寄り添ってくれてるみたいで元気が湧く。
「俺、先輩と暮らすようになってからよう見るようになりました。特に夜の空」
「へぇー…」
「へぇて。笑 もっと反応ないんですか笑」
神山が笑うのに合わせて、レジ袋がくしゃりと音を立てる。
「いや、なんか、俺が影響与えたんかって少しじんとした。仕事じゃなかなかあらへんし」
「ありますよ。先輩のこと、尊敬してます」
「褒めても何も出てこぉへんで」
気恥ずかしくて視線を落とす。
コツン、と不意に神山の手と俺の手がぶつかった。
「っあ！ごめん」
「いえ、」
もうぶつからへんようにポケットに手を突っ込む。
さっきまで溢れていたはずの言葉がふわっと消えていく。
あとどれくらいこの曖昧な関係を続けられるんやろうか。
神山が居るのが当たり前で、やけど絶対に触れ合わない距離感。ぶつかっただけで会話が途切れてしまう距離感。
ふと浮かんだ疑問は多分、何か無意識の予感があるから。
少しずつ綻び始めているのはきっと、俺の心だけやない。
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ナナセ(プロフ) - mimimiさん» コメントありがとうございます。ご感想いただけてとても嬉しいです◎ そろそろ後半戦に入ります。ぜひお付き合いください！ (2021年5月3日 18時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
mimimi(プロフ) - ゆるやかに穏やかに2人が過ごす日々と、密かに幸せと苦悩を積らせる赤さんとまだ気持ちの描写が少なくて読めないなりに赤さんに助けられ癒されてるのを感じる緑さんと、2人が可愛くて大好きです。更新毎日楽しみにしております！ (2021年5月3日 16時) (レス) id: cea37b05b2 (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - camokinokoさん» 夜分遅くのお返事で申し訳ありません。嬉しいご感想ありがとうございます！ ぜひ更新お付き合いくださいませ◎ (2021年4月18日 0時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
camokinoko(プロフ) - かみしげ可愛すぎます(^^)作者様のご無理のないよう、更新楽しみにしています！ (2021年4月17日 18時) (レス) id: 636c89ef1d (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - かこさん» いつもコメントありがとうございます！ぜひ今回もお付き合いください◎ (2021年4月9日 20時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2021年4月9日 10時
