#26 ページ26
無難に“美味い安い早い”に落ち着いた。
「「いただきます」」
カウンター横並びで、スーツのまま。
あまりにもサラリーマン然としていて少し笑いそうになる。
思えば神山と外回りに行っても、寄り道とかせぇへんかったな。
「牛丼、久しぶりに食べた気がする」
「たしかに。俺以上に神山の方がお弁当暦長いしな」
美味しい？と問えば、嬉しそうな頷き。
良い食べっぷりやなぁ…。
「…なんかさ」
「はい」
「誰かと…気を許した誰かと食べる外食は、美味しいのかもせぇへん」
「…ふふ、そうですね」
温かい笑顔が返ってきて、逆に恥ずかしくなってしまう。
「やっぱり忘れて、変なこと言ったわ」
「良いこと言いました。ぜっっったい忘れません！笑」
・
ホテルに戻って、神山、俺の順で風呂に入った。
家から持ってきた部屋着を着た神山は、ベッドの端にちょこんと座っている。
「おかえりなさい」
「ん」
いや、何か待ち構えられてると俺のが緊張するんやけど。
ベッドとベッドの隙間やって、人一人通るのがやっと、みたいな感じで。
きっと横になっても手を伸ばしたらすぐ彼に届いてしまう。
「なぁ、しつこいようで悪いけど、ほんま大丈夫？」
「大丈夫、です。下心がないってわかってますし」
…あるんやけどな。
言ったらややこしくなるから言わへんだけで。
神山自前のシャンプーの、慣れ親しんだ香りをやけに感じる。
「それに。優しい人やってわかってるんで」
これ以上、大丈夫？って聞いたらだめやな。
それがわかった。
自分に言い聞かせるみたいな言葉と、曲げないって強い意志みたいなんを感じるから。
「最初は無愛想で怖い先輩かなぁーって思ってたけど」
「ま、じか…」
「ふふ、でも、一緒に暮らしてそんなことないってわかりました。重岡先輩は俺の気持ち踏み躙らない、優しい人です」
ふんわりと微笑んで、神山は寝転がる。
「明日も早いんで、俺はもう寝ますね」
「…うん。俺も」
部屋の電気を消すと、神山の顔も見えなくなった。
目が慣れて、寝顔が見えてしまう前に。
寝返りを打って神山に背を向けた。
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ナナセ(プロフ) - mimimiさん» コメントありがとうございます。ご感想いただけてとても嬉しいです◎ そろそろ後半戦に入ります。ぜひお付き合いください！ (2021年5月3日 18時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
mimimi(プロフ) - ゆるやかに穏やかに2人が過ごす日々と、密かに幸せと苦悩を積らせる赤さんとまだ気持ちの描写が少なくて読めないなりに赤さんに助けられ癒されてるのを感じる緑さんと、2人が可愛くて大好きです。更新毎日楽しみにしております！ (2021年5月3日 16時) (レス) id: cea37b05b2 (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - camokinokoさん» 夜分遅くのお返事で申し訳ありません。嬉しいご感想ありがとうございます！ ぜひ更新お付き合いくださいませ◎ (2021年4月18日 0時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
camokinoko(プロフ) - かみしげ可愛すぎます(^^)作者様のご無理のないよう、更新楽しみにしています！ (2021年4月17日 18時) (レス) id: 636c89ef1d (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - かこさん» いつもコメントありがとうございます！ぜひ今回もお付き合いください◎ (2021年4月9日 20時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2021年4月9日 10時
