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#12 ページ12

麻婆茄子を食べた翌日。
神山の疲れを探るべく俺はまだ奮闘していた。
観察に次ぐ観察。…声をかけることはできず。

「あれ、仕事終わらへんの?」

デスクは皆すっからかんやのに、神山だけ難しい顔でパソコンに向かってる。

「すみません、あと30分くらいかかると思います…」
「おっけい。待つで」
「いやいや!申し訳ないです!」

ぶんぶんと一生懸命首を振る姿が可愛らしい。

「でもどっちにしろ帰る家も、ご飯食べるタイミングも一緒やん」
「…たまには作ってくれててもええんやけど?」
「う…耳が痛いな。…あ、ほらこれ手伝うで」
「もう!話逸らさんといてください!」

ごめんごめん、と笑って安心したところでファイルを奪う。

「あ!ちょっと!」
「絶対一緒にやった方が早いし」

俺もやり方知ってる仕事なら尚更。
ひたすらエクセルに数字を打ち込むその作業は、新人ならばやらされるいわば登竜門。

「ごめんなさい、手伝ってもらって…」
「ええってええって。ほら、口やなくて手ぇ動かす」
「はい」





20分弱で仕事が片付いた。

「お疲れ」
「ありがとうございます」

二人で歩く帰り道。
いつもより時間が遅いからか、天気が良いからか、星がすごく綺麗に見えた。

「夜はちょっと肌寒いな」

俺の言葉に神山はこくん、と頷く。
遅くなってしまったのを申し訳なく思ってるらしい彼は、いつもより足をテキパキ動かしてる。

「なぁ、星綺麗やで」
「え?」
「空、見てみ」

うわぁ、と感動した声。

「綺麗ですね」
「ちょっとだけ遠回りして帰らへん?」

このまま真っ直ぐ帰ってしまうのは勿体ない。
思ったままに伝えれば、肯定的な返事が返ってくる。

「しましょう。先輩のベランダじゃ、絶対よう見えへんもん」
「見晴らし悪くてすんませんでした」

高い階だったら神山のこと見つけられへんかったから、俺はあのベランダで良かったと思うけど。

「夕飯、何が食べたいですか?」
「せやなぁ…三つ葉の乗った親子丼」
「じゃあスーパー寄らなきゃ」

家族みたいな会話をして、曲がり角を右に。
スーパーまではまだ少しかかる。

「今度さ、料理教えてや」
「え?…わかりました。ビシバシしごきます」
「いや、何卒お手柔らかに…」

神山の朗らかな笑い声が星空に柔らかく響いた。

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ナナセ(プロフ) - mimimiさん» コメントありがとうございます。ご感想いただけてとても嬉しいです◎ そろそろ後半戦に入ります。ぜひお付き合いください! (2021年5月3日 18時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
mimimi(プロフ) - ゆるやかに穏やかに2人が過ごす日々と、密かに幸せと苦悩を積らせる赤さんとまだ気持ちの描写が少なくて読めないなりに赤さんに助けられ癒されてるのを感じる緑さんと、2人が可愛くて大好きです。更新毎日楽しみにしております! (2021年5月3日 16時) (レス) id: cea37b05b2 (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - camokinokoさん» 夜分遅くのお返事で申し訳ありません。嬉しいご感想ありがとうございます! ぜひ更新お付き合いくださいませ◎ (2021年4月18日 0時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
camokinoko(プロフ) - かみしげ可愛すぎます(^^)作者様のご無理のないよう、更新楽しみにしています! (2021年4月17日 18時) (レス) id: 636c89ef1d (このIDを非表示/違反報告)
ナナセ(プロフ) - かこさん» いつもコメントありがとうございます!ぜひ今回もお付き合いください◎ (2021年4月9日 20時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナナセ | 作成日時:2021年4月9日 10時

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