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「タバコ臭ぁ…」
ドアを開けた途端、ツンと香るタバコの匂い。
放課後は学生が多く、禁煙ルームは予約で埋まっていた。
「神ちゃん、着替えてきて正解やな」
「ほんま。ブレザー滅多に洗われへんもん」
「でもそれお気に入りちゃうん？」
「…んー、まぁ、でもザブザブ洗える系」
何も知らんとカラオケ連れて来られてたらちょっと嫌やったけど、匂いがつくのは覚悟の上で着て来たからな。
「私服派手で可愛えな」
「おーきに」
原液を水で薄めた微妙にまずいウーロン茶を飲むと、カラオケに来たって感じがする。
いざ何か言おうと思うと言葉が出てこなくて。
暫くリモコンとタッチペンを繋ぐ紐を手遊んでやっと口を開く。(タッチパネルの最新型も予約で埋まってた)
「学校内ではな、知っての通りあんな感じやねんけど、二人になるとしげ、全然ちゃうねん」
せっかくカラオケ来たのに歌わな勿体無いよな。
でも、誰かに聞いて欲しくて。
「二人っきりになったら恋人繋ぎは当たり前。とろけたみたいに優しい目で見つめられて、好きやでって急に言ってきて、俺のこと照れさせて…」
流星は、小さくて低い声でうん、と相槌を打った。
「火曜日のしげのなかでも時間が進んでるから、どんどん親密になっていく。俺も、もうドキドキしなくて、それが当たり前に思えて…やから、ほんま、死ぬ気で気持ち切り替えてんねん」
週に一回訪れるその日は、何か特別なことをするわけじゃない。
当たり前のように登下校をして、普通の一日みたいなのに、唐突に彼の恋人だと気付かされる。
それは、さりげないスキンシップの多さとか、優しい声かけとか、真っ直ぐな愛の囁き。
些細なことなのに、その、些細なことが一番苦しい。
「意識して、幼馴染としてしげを見ても、好きなの忘れられへんの。むしろ、他の曜日のがしげに振り回されて、一喜一憂して……ドキドキしてる」
そこにいるしげが、恋人じゃないとわかっていても、手を伸ばしたくなるほどに。
「好きな人相手にドキドキするんは当たり前やろ」
「…いけめん流星でも？」
「顔は関係ない笑」
わしゃわしゃと頭を雑に撫でられる。
「ほんっまに、しげのこと大好きなんやな」
「、はっきり言われると…照れる、し、認めにくい」
「何やねん笑」
「…でも好き」
「そっか」
そしてようやく、二人してマイクを手に取った。
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ナナセ(プロフ) - かこさん» コメントありがとうございます◎ ぜひ次回作もお付き合いください！！ (2021年2月19日 13時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 完結おめでとうございます（ ; ; ）とっても面白かったです！次回作も楽しみにしてます(^^) (2021年2月19日 12時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2021年2月2日 10時
