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やりたいことない、は流石に嘘かもしれへん。
「んー…何弾こっかな。今日は思ったより警察の人来ぉへんから用意してた曲、尽きてもうた」
なかなかアウトな発言をして、ギターを適当に奏でる彼。
毎週金曜日に駅で路上ライブをしているTakaさんのことを知ってから、楽器に興味を持つようになった。
「あ、せや。9月も中旬になったし、秋っぽい曲にしよか。夜になればちょっとは涼しいし。笑」
そう言って弾き始めたイントロ。
すぐにTakaさんの声が入る。
落ち着いた大人な声やのに、どこかあどけなさすら感じるほど、透明感があって。
そこまで大きな駅やないけど人が多く集まるのは元の声質と高い技量からだろう。
俺もたまたま一度聞いてからファンになって、わざわざ聞きに行くようになったもん。
・
結局、警察による妨害がないままTakaさんは路上ライブを終えた。
片付けを始める彼を見とめて、一人二人とお客さんが減っていく。
今日は、彼に話しかけるって決めてきた。
今度ようやっとギターを買おうと思って、Takaさんが初めて買ったギターが何だったかを、聞く。…緊張するわぁ。
「あの、」
あんまり躊躇してたらTakaさん帰ってまう。
印象的な撫で肩にギターケースを背負う寸前、俺は声をかけた。
「はい。…あ、君、よう来てくれる子やん。いつもありがとうなぁ」
「え、僕のこと知ってはるんですか？」
「おん、毎週来てくれるんは君と、あともう一人君と同年代くらいの男の子だけやで。他は気が向いて足を止めてくれるくらい」
そんなん人生損してる！
また次の金曜日に来たら、Takaさんの歌声聴けるのに来ないなんて！
…というのは流石に重たいファンやと思われそうで、心の中に秘めておく。
「あの、実は聞きたいことがあって」
俺の質問に彼は、ライブ中の笑顔そのままに答えてくれて。
詳しくないなりに調べた中で、初心者はまずこれ！みたいに書かれていたもの。
「安くはないけど、良かったら始めてみて。興味あることに取り組めるのは若いうちだけやから。…って、おっさんが言っても説得力ないか笑」
おっさんには全く見えませんけどね？
年齢を尋ねれば、君より10は上やろなぁとアバウトな返答。
「いつか一緒に弾こうや。練習、頑張ってな！」
ほんまめちゃめちゃ良い人すぎる。
また来週も行きます、と宣言すれば彼は待ってるよと微笑んでくれた。
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ナナセ(プロフ) - かこさん» いつもコメントありがとうございます！ ぜひ今作もお付き合いください〜◎ (2020年12月28日 18時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 今回のお話もさっそく大好きになりました。笑 応援してます(^^) (2020年12月28日 14時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2020年12月28日 12時
