#08 ページ8
「わざわざ放課後に保健室残って、何してたん？」
「え？漫画読んでた」
「それは見たらわかるわ」
言いたくないんやろか。
俺のツッコミに微かに笑うと、カフェオレを混ぜることに集中し始める。
「俺に興味があるん？」
「や、まぁ…そういうわけやない、けど」
「そっか。俺は神山くんのことたくさん知りたい」
真っ直ぐすぎる言葉に、僅かに頬に熱がこもるのがわかる。
そりゃ、こんなイケメンにそんなこと言われたら多かれ少なかれ照れるやろ。
「なぁ、何で俺のこと知ってるん？」
「ん？そりゃ同じクラスやし」
「え？」
「…え？」
まじで？行かなすぎて存在抹消されてる？と中々怖いことを言い出す藤井くん。
…あ。
「謎に使わない机、一個あるわ」
「使わない机やなくて、俺の机な。自分、意外と失礼やな」
流石に謝罪。
やってずっとのんちゃんの隣に机が(謎に)あったんやもん。
「ま、ええわ。何に悩んでるん？」
「…面白いもんやないで」
むしろ、これ言ったら引かれるんちゃう？
そう思っても目の前の彼は言わなきゃ解放してくれそうにない。
「俺は並大抵のことじゃ驚かへんで」
ほら、と促されて仕方なく、この二週間の話をする。
友人に告白されたこと、しかし次の日にはそのことを相手が忘れていたこと、…また火曜日に俺と付き合っていると言い張ったこと。
「ほーん」
「え、ほんまに驚かへんの？」
「やって驚かないって宣言したし」
いや、しましたけども。
「で、神山くんは、何に悩んでるん？」
「え？何って…この意味わからん状況に？」
どう考えても普通じゃないやろ、今の状態。
「無理ちゃう？」
「は？」
「まず原因が相手にあるのか神山くんにあるのかから分からへんし。考えるだけ無駄やろ」
「それはそうやけど…」
まだ納得のいかへん俺に、藤井くんが差し出したのは分厚い本 数冊。
「重っ、…くない」
「嘘やん。笑 まだ先週の引きずってるん？」
脳科学、脳神経学、心理学…タイトルを読んだだけで眠くなりそうな本の数々。
「仮に相手に原因があったとして。それはどうして起こってるん？脳の障害？心の問題？ 神山くん、考えてもわからへんやろ」
…ぐうの音も出ない。
「世の中、割り切って受け入れるしかないこともあるもんやで」
「…悟り開きすぎちゃう？」
俺の言葉に片眉を上げ、コーヒーカップに口をつける彼はなんだかすごく大人びていて。
同い年やのに、悔しいわぁ。
「なぁ、また来てもええ？」
「ん？別に俺の許可要らへんやろ。まぁでも水曜日、また待ってるわ」
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ナナセ(プロフ) - かこさん» いつもコメントありがとうございます！ ぜひ今作もお付き合いください〜◎ (2020年12月28日 18時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 今回のお話もさっそく大好きになりました。笑 応援してます(^^) (2020年12月28日 14時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2020年12月28日 12時
