#06 ページ6
正直、しげからの告白を俺が作り出した都合のいい妄想やったと片付けようとしていた。
それくらい、彼の一週間の振る舞いは今まで通りやった。
…昨日までは。
いつもの情報番組の火曜パーソナリティに送り出されて家を出る。
ちょうど告白(されたと思って)から一週間。
「しげー、行くで」
『すぐ出る』
宣言通り、すぐに出てきたしげは俺に手を差し出した。
「え、何？」
「何って、手。繋ぐやろ？」
「は？何で？」
「そんなん俺らが付き合ってるからやん」
…いやいやいや、待て待て待て。
「「え？」」
二人疑問符がハモれば、お互いわかりやすく固まる。
「やって神ちゃん、オッケーしてくれたやろ？俺、ハグしたやん」
「そ、れは俺の妄想、やなくて？」
「何言ってんの！現実やってば！」
ほら、ともう一度促されて、戸惑いながらも手を握る。
しげと手を繋ぐのなんて何年ぶりやろ。
記憶にある、子供の頃のふくふくした手じゃない、骨張った手。
「一限から物理とかほんま無理なんやけど」
「神ちゃんは何限にあっても物理嫌いやろ？」
「せやねんけどさぁ」
もっと早く文理分かれれば良いのにと思う反面、そしたらしげと同じクラスになれへんから。
「ほんまに困ったら、そん時は俺が助けたる笑」
「頼むでほんま」
代わりに日本史と世界史の板書は全部任せたからな！とだいぶ重たい交換条件を飲む。
こんな割に合わない取引も認めてしまうのは多分、惚れた弱み。
・
今日一日、しげはまるで俺の恋人であるかのようだった。
…いや、一応告白されてるからこの表現はおかしいんやけど。
六限の化学。
先生に当てられたしげが前で化学式を書いている。
「神ちゃん、今日どうしたん？」
「え？」
その後ろ姿をぼんやりと見つめていると、のんちゃんが急に肩を叩いてきた。
「なんか二人、今日おかしくない？」
おじいちゃん先生の授業っていうこともあって、教室内はちょっとザワザワしてる。
やのに少し声をひそめて話すのんちゃんの小さな律儀さがちょっと面白い。(小声で話すなら最初から喋らなきゃええのに笑)
「おかしい？別にいつも通りやで」
「そう？何か距離近い気がすんねんけど」
ほんま、のんちゃんってこういうところ聡いよなぁ。
しげにも見習ってほしいわ笑
「俺もしげもたまたま機嫌よかったんちゃう？」
適当にはぐらかすと、あまり納得していなさそうな顔で頷く。
いやいや、言えへんやろ。
しげと付き合ってるかもしれない、なんて。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 416人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナナセ(プロフ) - かこさん» いつもコメントありがとうございます！ ぜひ今作もお付き合いください〜◎ (2020年12月28日 18時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 今回のお話もさっそく大好きになりました。笑 応援してます(^^) (2020年12月28日 14時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ナナセ
| 作成日時：2020年12月28日 12時
