#05 ページ5
一学年分、280枚。
ギリ一人で持てなくもないのにヘルプを頼んだのは、中間先生が今俺の横を歩く不良少年をどうにか外に連れ出したかったからやろな。
不良とか勝手に決めつけてごめんやけど、校則違反の金髪に、緩んだネクタイに、保健室のベッド占領って、もうそれは不良少年ビンゴ達成やろ。
「わざわざついてきてもらってすんません…」
「んーん、謝るべきは淳太や。君はただの被害者」
とはいえ一応謝っておく。
その返事をしながら彼は俺の持つ束の上半分ばかりをひったくった。
「あ、持ちますって、」
「ええって。色白やし小っこいし」
失礼な奴！
たしかに、のんちゃんみたいにタッパないし鍛えてもないけど！趣味はゲームやけど！
ムッとして足元を見れば、同じ青色の上履き。
「同い年やん、敬語使って損したわぁ！…って思ったやろ？」
視線の動きで察したのか、彼はわざとらしく声をあげる。
「え、あ、いや…」
「じゃあ同い年なのに見たことないな、こいつ」
「…まぁ、両方、かな」
うちの学校は生徒数少なくないし、見たことない同学年なんてザラに居る。
卒業する時にも知らん人が居るっていうのに、二年生のうちじゃもっとやろ。
「俺は神山くんのこと知ってるんやけどね」
「え？
意味深に笑うと、彼は歩くスピードを上げる。
足の長い彼に置いていかれないように半ば駆け足で職員室を目指した。
・
「ありがとう。結局、全部持ってもらっちゃったし…」
「いーえ。淳太に俺のこと、褒めておいてな」
あー良い仕事した。と、保健室から職員室までのさして長くない移動に彼は伸びをする。
俺、これ一緒に帰るべき？
どうしようと戸惑って、次に顔を上げたら藤井くんは何か白いものを咥え…って、え？タバコ？
「神山くんもどう？ココアシガレット」
「…遠慮しておきます」
違うんかい。
いや、校内で生徒がタバコ吸ってたら大問題やけど。
「じゃあ帰ろっか」
「あ、うん」
ほんで、当たり前のように一緒に帰るんか。
ようわからん不良少年に、反対意見は特になかったから大人しく横に並んだ。
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ナナセ(プロフ) - かこさん» いつもコメントありがとうございます！ ぜひ今作もお付き合いください〜◎ (2020年12月28日 18時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 今回のお話もさっそく大好きになりました。笑 応援してます(^^) (2020年12月28日 14時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2020年12月28日 12時
