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「飽きた」
段ボールと共に渡された言葉に思わず苦笑する。
たしかにしげがやってる単純作業は飽きが来るの早そうやな。
渡された段ボールに紙巻きつけて終わりやもん。
「交代する？」
顔を上げてしげに問いかければ、彼は目を丸くする。
え、そんな驚くこと？
俺今までずーっとこうしてしげのこと甘やかしてんねんけど。
「神ちゃ、ちょっ…笑」
「へ？」
「待って、スマホ取ってくるから！」
「やから何が？」
どういうこと？とのんちゃんと流星の顔を見れば、二人も軽く吹き出す。
「んはは、神ちゃんが可愛えことになってる」
そう言って流星が手を伸ばしてくるから、もう頭の中はてなマークだらけ。
「あ！おい流星！待って！俺が見つけたんやから俺の神ちゃんや！！」
「俺の神ちゃんて何やねん笑」
のんちゃんは苦笑いして、俺の体をしげのスマホに向ける。
パシャ、と特徴的なシャッター音になんとなく合点がいって。
「あ、擦ったあかん、余計広がるで」
そう言われて開いた手のひらには、ピンクの絵の具がしっかり付いていましたとさ。
・
「んはは、これ神ちゃん恥ずかしくてお家帰らへんで笑」
水道で絵の具と格闘してる横で、しげがクスクス笑う。
俺の左頬についたそれは、色が色なら切り傷に見えたかもしれへん。
「全然取れへんのやけど！」
「あーもう、赤くなってきとるやん…」
眉を下げたしげは、俺が重点的に擦っていた部分を撫ぜる。
それがくすぐったくて身を竦めるといたずらっ子の顔。
「ん、やめぇや笑」
すりすり、すりすり、彼の止まない手を捉えると、そのままぎゅっと握られて。
「ええよ、可愛いからそのまま帰ろ」
「あほか」
「んー？あほちゃうで」
離れない手。
繋いだまま最終下校時刻になった校舎を出る。
「神ちゃんのこういうところ、好きやなぁって思う」
「急に何？」
「普段しっかりしとるのに、時々抜けてるの」
俺もお揃いでほっぺに何か書けばよかったなぁと、他人事やからって呑気なことで。
「あ、せや。俺マスク持ってるで」
「それ早よ言ってや…」
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ナナセ(プロフ) - かこさん» いつもコメントありがとうございます！ ぜひ今作もお付き合いください〜◎ (2020年12月28日 18時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 今回のお話もさっそく大好きになりました。笑 応援してます(^^) (2020年12月28日 14時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2020年12月28日 12時
