#37 ページ37
「何で俺のとこには来なかったん？」
拗ねた声。
帰り際にこの間ののんちゃんの話をしたら、二人になった瞬間しげはわかりやすくしょぼくれた。
「やって金曜は外周と筋トレやろ？グラウンドに居らんやん」
「でも…小瀧ばっかり褒められてずるい」
「んはは、しげもかっこええで」
「気持ちこもってへんやろ！」
「んなことないって」
ほんまは心の底から思ってるのに。
火曜日じゃなきゃ、本心さえ伝えられない。
…何だかなぁ。
「あ、せや神ちゃん、今日コンビニ寄らへん？」
「ん？ええけど、何か買うん？」
「やっぱり知らんかったか！」
じゃーん！と自らで効果音をつけて、俺に見せてきたのはスマホの画面。
機嫌治るの早いな。笑
「え！めっちゃ美味そう！」
「やろ？神ちゃん好きそうやから、食べたいなぁって」
「絶対好き！食べる前からわかる！」
最近のコンビニスイーツ、レベル高いもん。
もう期待しか湧かへん。
「半分こ？」
「おん。あと、唐揚げ買ってそれも半分こしよ」
俺の言葉にしげはぶんぶんと頷く。
「俺昨日の部活の帰りにめっちゃ迷ってんけど、神ちゃんそう言いそうって思って唐揚げ棒我慢してん！さすがやな！」
「それ、さすが神ちゃんって言うよりさすが俺！って聞こえるんやけど」
「んー？ふふ、両方ある」
・
「神ちゃん、先どうぞ」
「じゃあありがたく」
早よ食べたいからコンビニのちゃちなスプーンで一口分掬い取る。
「…そんなに見られてると食べにくいんやけど」
「それいつも言うけど諦めてや。神ちゃんの食べてる姿見たいもん」
「何やねんそれ、恥ずいわ笑」
「どう？美味しい？」
「まだ食べてへん！」
にやにやしてるしげを軽く睨んで一口。
「…美味っ」
やばい、美味しい。これリピート確定やわ。
「ちょ、一口！」
「はいはい」
スプーンを差し出せば、嬉しそうな顔。
鈍感な彼を良いことに合法的にあーんに持ち込むのは俺の悪い癖やな。
「美味いなぁ、やっぱり神ちゃん好きな味やぁ」
「アンテナ貼り損ねてたわ…ありがと」
「いいえ！ほな唐揚げ棒も食べよ」
スイーツをちょっと多くもらう分、奇数の唐揚げをしげが多く食べるのが俺らの暗黙の諒解。
不定期に開催されるコンビニの買い食いが俺はかなり好きだったりする。
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ナナセ(プロフ) - かこさん» いつもコメントありがとうございます！ ぜひ今作もお付き合いください〜◎ (2020年12月28日 18時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 今回のお話もさっそく大好きになりました。笑 応援してます(^^) (2020年12月28日 14時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2020年12月28日 12時
