拝啓、火曜日の君へ。【JW 赤×緑】

#31 ページ31

「神ちゃん、帰ろ」
「うん。のんちゃん、しげ、部活頑張ってな！」

今まで一人で帰っていた金曜日。
やけど流星が学校に来るようになってからは、金曜日は二人で帰宅。

「じゃあ月曜日な！」

部活の荷物を抱えて、二人は部室棟に走って行く。
その後ろ姿に背を向けて、俺らは昇降口へ。

「今日のTakaさんのライブ、何歌うんやろな」
「あ！待って、俺一個予想あんねん！」

流星の言葉に慌てて返す。
予想、ていうか期待やけど。

「今やってるドラマあるやろ？あれの主題歌！」
「あー！あ、それめっちゃあり得るんやない？」
「やろ？」

絶対Takaさん似合うもん、あの曲。
大人の色気っていうか、そういう魅力的な声してはるから。

「え、てか神ちゃんあのドラマ見てるん？」
「おん。毎週リアタイしてるわ」

主題歌が大人なら、ドラマの内容も大人。
いや、ちゃうで？そういうシーンがたくさんとかやなくて。(ちょっとあるけど…)

「結構ドロドロしてへん？」
「…うん」

あれは純愛とは言えない。
主人公の女性は既婚なのに、旦那さんとは別の男性に惹かれて…つまり、不倫。
やけど旦那さんのことを嫌いになったわけやなくて、その二人の間で気持ちが揺れる…みたいな？

「ちょっと意外。神ちゃんこういうのより、もっとわかりやすいのが好きそう」
「例えば？」
「えぇ、何かもっとピュアピュアしたやつ」
「いや全然ピンとこないわ笑」

でもあれ、おもろいよな。
流星はそう言って笑う。
…んー、何か認めたくないけど、俺よりも流星のが似合ってるわ、あのドラマ。

「どうやったら振り向かせられるんかなって思わん？」
「え？」
「旦那さんを越えるには、どうしたらええんかなって」
「あ、そっち目線？」
「おん」

ライブまで時間は結構ある。
先週はファストフード店に入って時間を潰した。
今日もその感じかな？
やって流星、スマホでクーポン検索してるもん。笑

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