#28 ページ28
流星はノックもせず、保健室のドアを開いた。
「おい藤井、礼儀がなってへんで」
中間先生は小さくため息を吐く。
「淳太救護んとこ居なくて良えの？」
「今桐山先生に交代してもらって昼飯食べるところ」
「あっそ」
「聞いといてその返事はないやろ」
もう、と言いながら三人分の麦茶を入れる先生。
何か矛盾してる。
「藤井がサボろうと勝手やけど、真面目な神山くん巻き込むんはあかんで」
「ん？神ちゃんが具合悪いねん」
「え、」
そんなこと一言も言ってないわ。
「神山くんが？大丈夫なん？」
「うん、心臓が痛いねんて。恋の病かも」
「っ、あほ！」
慌てて流星の肩をはたくと、中間先生の顔がみるみる緩んでいく。
え、ちょ、そんなキャラなんて聞いてへん…！
「何ー？神山くん、好きな人居るん？」
「あ、いや、えと…」
「ふふ、まぁええわ。俺ちょっと席外すな」
中間先生はにこやかに笑うと、ハンカチを片手に立ち上がる。
何かこういうところ、スマートやなぁ。
当たり前やけど、高校生とは違う。
これがしげやのんちゃんなら、吐くまでいじめられるわ。笑
「なぁ流星。何でわかったん？」
あのゴールに居合わせたくなかった。
それを読んだかのようなタイミングで保健室に招かれたわけで。
「え？…あぁ、わかるよ。神ちゃんわかりやすいねんもん」
「そんなつもりないけど」
…ちょっと不満。
流星が大人っぽいのもあって、何か自分が子供みたいやん。
「ふふ、顔にばっちり出てた。それに…」
「それに？」
「…やっぱりなんでもない」
「えぇ、何それ笑」
教えてや、という俺の言葉がドアの開閉音に阻まれる。
「神ちゃん！」
その声は、俺のよく知るしげのもの。
「もう！どこ行ってん！色別リレー応援してくれるって言ってたやん！」
「わざわざ迎えにきたん？」
俺が返事をする前に、流星がちょっと笑いながら言う。
「せやで。当たり前やろ」
ほら行こう？
そう言って、差し伸べられた手。
何だか泣きたくなった。
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ナナセ(プロフ) - かこさん» いつもコメントありがとうございます！ ぜひ今作もお付き合いください〜◎ (2020年12月28日 18時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 今回のお話もさっそく大好きになりました。笑 応援してます(^^) (2020年12月28日 14時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2020年12月28日 12時
