#21 ページ21
妹の体調も、昼頃には落ち着いてきた。
明日は保育園行けそうやな。
しげ同様、のんちゃんや流星からも昼休みに心配の連絡をもらって。
そのくせ、皆口をそろえて板書は期待するな、と。(古典あった時点でお察し。)
『しげ、どうやった？』
流星にメッセージを送るとすぐ既読が付く。
『微妙』
てっきり覚えてるかないかの二択で返ってくると思ってたから、思わぬ答えに戸惑う。
『昨日連絡先、交換したやろ？それ見て予習してくることはできるから』
勉強嫌いなしげが予習なんて、というのは完全に的外れな感想で。
『覚えてたのか、その内容見て把握したのか…』
結局、結論は出ないまま。
・
呼び鈴の音で意識が浮上する。
妹を寝かしつけて、そのまま俺も寝てしまったらしい。
窓から見える外の景色は、ちょうど夕方時。
そろそろ夕飯の支度せな。
「はーい」
ドアを開けると同時にがばっと強く抱きしめられる。
「え、ちょ、どしたん、」
「会いたくて、来てもうた」
…そんな台詞が似合うほど、遠距離な関係ではないと思いますが。
「急にびっくりするやん…」
「えへへ、サプライズ。ノート貸しに来た」
ほい、と見事に理系科目。
今日日本史もあったよなぁ？とは言わないでおく。笑
「ありがとう、助かるー」
おにいー、と目覚めた妹の心細そうな声に慌てて返事をして。
「大変そうやなぁ、何か手伝う？」
「ほんま？ちょーっと妹の相手しててくれん？」
体調のせいでご機嫌ナナメな妹の世話と、料理の同時進行はなかなか厳しい。
「ええで」
お邪魔します、とよく知った声に妹は嬉しそうな声を上げた。
しげってなんだかんだいいお父さんになりそうやな。
彼が妹に絵本を読んであげている姿が台所からでも見える。
思わず浮かんだ感想を振り払うように、みじん切りをする速度を上げた。
しげが誰かと結婚して、お父さんになるのが嫌だ、なんて。
「わがまますぎるやろ、俺」
それでも気になってしまってもう一度、二人の様子を見ると。
「いーい？将来、俺は義理のお兄ちゃんになるからなー」
「ぎりってなぁに？」
「んー？智洋兄ちゃんと結婚して、血はつながってないけど戸籍上の＿＿」
「っ、ちょ、しげ！？」
火曜日の彼はびっくりするほど大胆で。
慌ててリビングに向かうも時すでに遅し。
「おにい、しげくんとけっこんするの？」
「あ、いや…えっとぉ…」
また一つ、厄介な誤解が増えました。
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ナナセ(プロフ) - かこさん» いつもコメントありがとうございます！ ぜひ今作もお付き合いください〜◎ (2020年12月28日 18時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 今回のお話もさっそく大好きになりました。笑 応援してます(^^) (2020年12月28日 14時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2020年12月28日 12時
