#18 ページ18
「今日も素敵やったなぁ」
俺が呟くようにそう言うと、隣で藤井くんが頷く。
「Takaさんがよう歌ってるあの曲、好きやねんな」
藤井くんが口ずさんだのは、俺も何度も聞いたTakaさんの十八番の曲。
「わかる！藤井くん、気ぃ合うんかな」
「ふふ、嬉しいこと言ってくれるやんか」
唇の端をくい、と上げると藤井くんは何とも無しに言う。
「月曜日、学校に行こうと思ってる」
「え？」
あまりにもサラッと言うから俺が驚いてしまって。
「色々事情話して学校側に融通利かせてもらってるんやけど。もうそろそろ面倒見切れへんよって」
「そ、っか」
ちょっと話聞いてくれへん？
そう言って藤井くんが指さしたのはコンビニ。
「缶コーヒー奢るから、飲み終わるくらいまで」
「…いちごミルクのが嬉しい」
恥を忍んで言えば彼は笑って俺の頭をポンポンと叩く。
「お子様やなぁ」
「っ、じゃあコーヒー飲む」
「別にええよ。可愛いんじゃない？いちごミルク」
またバカにされた。
絶対そうなると思ったから言いにくかったのに。
・
いちごミルクと缶コーヒーを買って、駅のベンチに腰掛ける。
「一年の時から何となくクラスに馴染めへんくて。仲良い子作ることもできひんくて、段々学校から足が遠のいた」
ブラックコーヒーをいとも簡単に飲み込んでいく彼。
苦い飲み物に、決して明るくない話やのに、彼は眉一つ顰めない。
「だから別に大きい理由があったわけでもない。…学校行かなくても楽しいこととか学べることとかたくさんあるし、行きたくないっていうより行かなくて良っかに近かったかな」
不良やろ？そう言って笑う彼に首を振る。
そりゃ最初は不良少年やと思ったけど、今はそういうわけじゃないんやろなってわかるから。
「保健室でも良えから来いって言われて、そこで淳太に出会った。あいつマジでおもろいで。反応がいちいち大きくてウケる」
中間先生、そんな人なんや。
全然知らへんのに、どういう反応するのかなんとなく想像ついてしまう。笑
「…で。まぁちょっと思うところがあって、教室にも行こうかなって」
「そしたら藤井くんと会える日、増える？」
趣味が合うし、なんだかんだ話してて楽しいし。
しょっちゅうからかわれてバカにされるのは嫌やけど。
「まぁそうなるかな」
「やった！そしたら俺の友達も紹介するわ」
そう言ってはたと気づく。
藤井くんが教室に来るということは、
「神山くんの火曜日限定彼氏さんも紹介してな？」
…こういうこと。
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ナナセ(プロフ) - かこさん» いつもコメントありがとうございます！ ぜひ今作もお付き合いください〜◎ (2020年12月28日 18時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 今回のお話もさっそく大好きになりました。笑 応援してます(^^) (2020年12月28日 14時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2020年12月28日 12時
