#17 ページ17
Takaさんの路上ライブに向かう道中、意外すぎる人物に出会った。
「「あ」」
お互いピッタリとハモってしまって何か恥ずかしい。
「神山くん、家この辺なん？」
私服を纏った藤井くんはテレビとか雑誌とか、そういう世界から出て来たみたい。
制服以上にスタイルの良さが際立って驚いてしまう。
「いや、ちょっと用があって。藤井くんは？」
「俺は路上ライブを見に」
「え！」
返答に驚いて声を上げれば彼も察したのだろう、唇をくいっと上げる。
「背ぇ低いのにセンスええんやな」
「絶対身長関係あらへん！」
大体、藤井くんがデカすぎるんや！と文句をつける。
向かい合うように立つと、明らかに見上げる形になった。
「まぁそういうことにしとくか。笑」
大人っぽい人かと思えばこんな子供みたいな茶々を入れて来るくせに。
あんまりゆっくりしてると遅れるで、って俺を促す様はやっぱり大人で。
「……」
「拗ねると身長縮むでー」
な訳！！！
・
俺のことを覚えていると言ってくれたのは本当らしい。
Takaさんは俺を見とめると、微笑みかけてくれた。
それに小さく手を振って返す。
そのまま彼の視線は俺の隣に上がっていき、(こういうところで身長差を自覚させられてムカつく。)おや、と驚いた顔。
「ちょっとだけ時間ください、ぜひ足を止めて聞いていってください」
それでもいつもの言葉を述べて、Takaさんがギターを構える。
歌い始める前から待っている人はそないに居らんけど、一度彼が歌い始めればぐっと人が増えるのを知っている。
彼が今宵の一曲目に選んだのは最近よく聞くCMソング。
人気歌手のカバーとだけあって、足を止める人が一人二人と多くなっていく。
アコースティックギターと彼の歌声が綺麗にマッチして、まだ暑い九月の夜の熱気が増して。
「ありがとうございます。聞いていただいたのは、____」
歌手名、曲名をTakaさんが言って一礼すると、拍手が起こる。
俺も一生懸命拍手した。
金曜日の夜。
平日の一番最後に疲れや不安がパッと消えていくみたいなこの瞬間が大好きや。
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ナナセ(プロフ) - かこさん» いつもコメントありがとうございます！ ぜひ今作もお付き合いください〜◎ (2020年12月28日 18時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 今回のお話もさっそく大好きになりました。笑 応援してます(^^) (2020年12月28日 14時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2020年12月28日 12時
