#15 ページ15
風呂から上がってゆっくりしていると、自室のドアがノックされる。
「電話。藤井さんって人から」
「え？」
慌ててリビングに向かって、保留になっていた受話器を操作する。
「もしもし」
『お、出た』
「かけてきたのに何言ってるん」
『確かに。…淳太から、心配してたって連絡もらって』
「え、あぁ…まぁ心配は、してたけど」
いざ直接的に言われると、肯定はしにくい。
昼休み覗いた保健室に彼の姿がなくて、思わず中間先生に尋ねたけど。
まだ二回しか会っていない相手におこがましいかな、とか、単純に照れくさかったりとか。
俺がもごもごと喋っているのを不思議そうに妹たちが見てくる。
あ、ここ、共用スペース。てか、これ家の電話。
「悪いけどさ、携帯からかけなおしてええ？」
『あぁ、ごめん。じゃあ番号教えて』
その言葉に頷いて電話番号を告げる。
すぐ掛け直すとのことだったから、携帯を置いている部屋へ直行。
「相手誰やろ」
「ふふ、もう高校生やしなぁ」
すごく誤解されてる気がするけど、とりあえず後回し。
『藤井です』
「うん、ごめんなぁ、家族まだ起きてて」
『せやろな、俺んところもまだうるさいわ笑』
言われていれば、時々彼の声の背景にザ・家族団らんみたいな笑い声が紛れこむ。
『水曜日なん忘れててさ、普通にさぼった。約束破ったみたいになってごめんな』
「ううん、元気なら良かった」
『ずっと元気やで、別に』
「そっか」
『なぁ、この間の。色々調べてみてんけどさ』
割り切れって言うてたのに、わざわざ調べてくれたんか。
ありがとう、と言うと少しぶっきらぼうなどういたしましてが返ってくる。
『でも。進展は無い』
火曜日だけ別人格と考えるのが一番筋が通る。
しかし原因がわからなければ解決方法もわからない。
『あんな分厚い本やのに、肝心のところが書いてへん』
そう言って不満げに言う彼にもう一度お礼を言う。
不良少年とか思ってごめん、めちゃめちゃええ人やん…。
『…割り切れって言ったの、ちょっと後悔してる』
「え？」
『実際に、神山くんの身になったら辛いやろなって…、無責任なこと言ってごめん』
「あ、いやそんな…」
いつでも相談に乗るから、って優しい声。
それに頷いてそっと電話を切った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 416人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナナセ(プロフ) - かこさん» いつもコメントありがとうございます！ ぜひ今作もお付き合いください〜◎ (2020年12月28日 18時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 今回のお話もさっそく大好きになりました。笑 応援してます(^^) (2020年12月28日 14時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ナナセ
| 作成日時：2020年12月28日 12時
