#13 ページ13
無事に物理の課題を提出して、気分の良い水曜日の放課後。
しげに誘われて陸上部の見学へ。
「あ！神山先輩！」
「ほんまや！」
準備中やったしげの後輩たちが気づいて手を上げてくれる。
「俺にも挨拶しろって！」
「はいはい、こんちゃっす、重岡先輩」
雑かよ、と小さく笑ってグラウンドに駆けだす彼。
「わー！重岡先輩が怒った！」
「おいお前ら！あんまりバカにすると外周追加するからな！」
「職権乱用反対！」
そのまま駆けっこを始める彼らはなんというかすごく青春、で。
俺と居る時とはまた違った表情のしげにキュンとしてしまう。
…あー、ほんま重症、どうにかしたい。
「神山！」
「あ、桐山先生」
両手に重そうな籠を抱える先生に、持ちますよと声をかければ首を振られる。
「この間中間さんに怒られてもうたから。生徒にこき使うなって」
「あー、別にあれくらい」
「せやんなぁ？ あの人厳し過ぎんねん」
ケラケラ笑いながら、見学？と尋ねられる。
「はい、しげに誘われて」
「あいつほんま神山のこと好きやなぁ」
「え、？」
好きという言葉に思わず過剰反応してもうたけど、普通に考えてこんなに長い年数一緒に居るんやもん、嫌いなわけないよな。
「よく俺にも話してくれるで？神山のこと」
「えぇ…あいつ変なこと言ってません？」
しげには良くも悪くもたくさんのことを知られてるから心配。
あと、俺が覚えてないけどしげだけ覚えてることとかがあったら怖いし。
「んー？神山のこと自慢の幼馴染やって良いところばっかり言ってるで」
…それはそれで死ぬほど恥ずかしいんやけど。
「あ、ほら重岡走るで」
その言葉に視線をグラウンドに戻せば、クラウチングの姿勢をとっている彼の姿。
ピッ、と威勢の良い笛の音は、先日怪我をしたと言っていた後輩のもの。
前だけを見据えたしげの走っているときの顔つきがずっと前から大好きで。
飽きたら帰ってええよ、と彼の言葉を思い出す。
…これは当分帰れそうにないですわ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 416人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナナセ(プロフ) - かこさん» いつもコメントありがとうございます！ ぜひ今作もお付き合いください〜◎ (2020年12月28日 18時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 今回のお話もさっそく大好きになりました。笑 応援してます(^^) (2020年12月28日 14時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ナナセ
| 作成日時：2020年12月28日 12時
