堂上の妻 (ページ30)

今日:21 hit、昨日:8 hit、合計:239,952 hit

028 ページ30

ソファに座って待っていた郁ちゃんのお母さんは

入ってきた郁ちゃんを見るなり立ち上がった

((あんたって子は！親に黙ってこんな職業に勝手に…！))

玄田「こんな職業とはご挨拶ですな」

((女の子が就くような職業じゃありませんっ！うちの娘はすぐ辞めさせてもらいます！))

笠原「辞めないよ！勝手に決めないでよ、あたしはこの職業に就きたくて就いたんだから！すっごいすっごい頑張って、今じゃ周囲の人にもある程度認めてもらえるくらいになったんだから！」

((女の子がこんな職業で認められたからってなんだっていうの！こんな野蛮でガサツな！))

堂上「図書隊には笠原士長の他にも女子防衛員が大勢います、彼女たちをもまとめて侮辱する発言ですか、今のは？」

((よそのお嬢さんのことまでは…

「知りません、そういうおつもりです？本人の目の前で？正直今の発言はかなり不愉快なものでしたよ」

さすがにこれにはお母さんも黙った

すぐにまた口論へと化したが

私の発言は多少なりとも効いたらしい

この間こだまは私にひっつきながらも

必死に大人になろうとしていた

まだ3つなのに

篤がヒートアップした郁ちゃんを止め、

父親を呼ぶように言った

1人になったお母さんの元へこだまは行った

こだま「僕、図書隊員になるんだ」

思わず篤と私は顔を見合わせた

そんな会話、一度もしたことない

こだま「僕がそうなること、誰もとめないよ」

そう、郁ちゃんのお母さんは呟いた

こだま「強くなっていつかパパとママを越えるんだ」

真っ直ぐな意志から何かを感じたらしい

そのままお父さんが来るまで静かだった

.

お客さんが帰ったあと、こだまはもう一度言った

こだま「強くなる」

言葉足らずなその声に、頭を撫でた

－－－－－－－－－－

3歳児ってこんなに喋っただろうか…

まあ図書館隣接官舎住まいならこんなもん？(笑)