【ハイキュー】涙の跡に気づいてよ【岩泉一】

涙の跡…22 ページ22

『ピンポーン』






そうチャイムが鳴れば




私はすぐに扉を開けたい衝動に駆られる









だけど高田先輩だったら






なんてことを考えちゃって







なかなか扉を開けられない








いろんな意味で速まる鼓動を深呼吸で抑えて







ゆっくり扉を開ける









岩泉「はよ、大丈夫か？」









少しの隙間から






心配そうな声が聞こえてくる








それに安心して


扉をすぐに開けた









貴方「おはようございます、大丈夫ですよ！」









岩泉先輩の前だから









好きな人の前だから









すぐに私の笑顔が戻る









さっきまでの暗く、重たい空気が









嘘のような、そんな笑顔に変わる









だけど、さっきまで泣いていたのは隠せなくて









苦しい感情を型どった涙の跡は









まだ消えてないようで









岩泉「…泣いてた、のか？」





心配そうな顔で私を真っ直ぐ見る先輩




そんな岩泉先輩の心配してくれる言葉が


嬉しいと同時に申し訳ないと思えた









貴方「泣いてませんよ〜」





ヘラヘラした態度で





あくびしたからですかねー、なんて嘘をつく









そんなのバレるに決まってるのに









岩泉「…強がんなくていい、泣きたくなったら俺を呼べ」









全てを見透かしたように話す先輩









バレるとわかっていても言ったのは








きっと気付いて欲しかったから









貴方「…でも、ッ」









言い訳ばっかなのは








構って欲しいから









岩泉「先輩だからって気使わなくて大丈夫だ、だから」









瞬きしたらこぼれてしまう





それでもまだ泣くのを耐える








だけど先輩の手が伸びてきて









反射的に目を閉じた









閉じると同時にこぼれる涙









だけどそれ以上に









貴方「…先輩？」







優しい、安心するような笑顔を私に向ける









頭に置かれた先輩の手が








すごく温かく感じる









温かく感じて








ずっとこのままならいいのに、なんて








思っちゃう









だけどそれができないのは









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高田「何やってんの？」









貴方「…⁈」









なんで？

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