【ハイキュー】涙の跡に気づいてよ【岩泉一】 (ページ21)

今日:9 hit、昨日:0 hit、合計:66,386 hit

涙の跡…21 ページ21

震える手で携帯を探す

少しの涙が私の目をかすめて鞄の中がよく見えない

貴方「…ッなんでないの」

そう呟いたとき

やっと携帯が見つかった

貴方「よかったッ」

怖くて怖くて

全身が恐怖で覆われているようで

何か人と繋がりがないと

今にも心が砕けてしまいそうだ

そんな恐怖の中

私は携帯を開いた

制服の裾で涙を拭うと

さっきまで霞んで見えた携帯が

眩しく光って見えて一瞬目を細める

そのまま何も考えずに携帯をいじって気を紛らわす

だけど無心でやっていたせいで

なぜか私は本能で押してしまった

『岩泉先輩＿電話』

・

・

・

貴方「え、あ、どうしよ」

プルルルと電話特有の音が鳴り響く

なる度に私の鼓動は少しだけ速まる

恐怖と緊張と恋心

全ての波が一気に私の心を覆い尽くす

だけど高田先輩のせいで

恐怖で声が震えている

電話越しだからわからないかもしれない

だけど地味に鼻声

それも電話越しだからわからないかもしれない

『もしもし、どうした？』

耳元で岩泉先輩の声が響く

それだけで

私の鼓動はもっと速まる

貴方「あ、や、あの」

動揺しすぎ

自分でもわかるくらい動揺している

だけど、なんて言い訳しようか考えてなくて

戸惑いの声ばっかが出てくる

貴方「…えっと、あ！かける人間違えました！」

ここまできて

電話かける相手間違えました

ですってよ

我ながら全然よくない言い訳になったよ

どうしよう

どうしよう

言い訳を言っても尚、私は動揺が隠せなかった

だけど耳元が一瞬静寂したのには気付いた

ふと不思議に思い

貴方「…先輩？」

『お前、泣いて…いや、今から迎えに行く』

”だから、家で待ってろ”

その言葉が私の心に

希望の光を灯した