【ハイキュー】涙の跡に気づいてよ【岩泉一】 (ページ20)

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涙の跡…20 ページ20

朝、家の扉を開ける

今日は天気予報で今季一番の寒さだとか言ってたから

少々、体に力を入れて扉を開ける

貴方「いってきます」

開いた扉の先から少しの光が漏れて

家の中を照らす

だけど開いていくうちに

誰かが家の前に立っていることがわかった

貴方「…ん？」

朝の日差しのせいで影しか見えない

だけどなんとなく大きいシルエットからして三年生の男子だと推測できる

眠い目を手で擦って刺激を与える

そうすれば、さっきよりも相手の顔が把握できるとおもったから

貴方「…ん、…え」

シルエット的に、昨日のこともあったし及川先輩かなとか思った

だけど今になってそんな律儀なことする人じゃないことを思い出した

貴方「なん、で…」

高田「おはよう、A」

なんで

なんで私の家を知っているの？

貴方「私の、家…」

高田「あー！それは」

''昨日のうちに見つけたんだ”

その言葉で気付いた

高田先輩がなんで昨日いなかったか

おとなしく家に帰った

もう私のこと諦めた

そんな簡単なことじゃなかったんだ

私の考えが甘かったんだ

貴方「そ、そうなんですか」

笑顔を無理矢理作る

そんなの今までずっとやってきたことなのに

高田「A、行こ？」

高田先輩に声をかけられても

動くことのない私の体

だって

昨日、及川先輩といたときに

知っちゃったんだ

高田「A？」

本当の笑顔

だから

だから

貴方「あ、私忘れ物ありました！先行ってて下さい」

逃げるように扉を閉める

いや、逃げるようには間違いだ

逃げたんだ

だけどこれが

貴方「…ッ」

今の私にできる精一杯のことなんだ