【ハイキュー】涙の跡に気づいてよ【岩泉一】

涙の跡…19 ページ19

貴方「及川先輩！」







柄にもなく大きな声で叫ぶ






夜道だから






こんな大きな声出さなくても聞こえたと思う








だけど、小さな声だと言えないから








きっと言わずに終わっちゃうから









貴方「私、あの、私…」









一歩前を歩いていた及川先輩が





ゆっくりこちらに体を向ける









その顔は、暗くてよく見えないけど






空気を読んでいるのか





少しこわばって見えた









貴方「私！…高田先輩と、付き合ってません！」









勢いに任せて







頭をあまり使わずに口を動かす







冷たい風に負けないくらい





冬の寒さに負けないくらい







大きな声で叫ぶんだ









貴方「私が好きなのは…」









弱い自分から









貴方「岩泉先輩だから！」









抜け出すんだ









・









・









・









・









・









・








・









及川「え？」






貴方「え？…あ」









やばい








やばいですよ









ちょっと勢いに任せ過ぎたよ









岩泉先輩が好きだとか








及川先輩に言わなくても良かったのに









いや、そりゃ言っても良かったけど








でもそれは順を追って言おうと思ってたっていうか









てか及川先輩に知られちゃったら









・








・









・









・









・








・









・









及川「Aちゃん」






貴方「は、はい」








及川「及川先輩に任せなさいっ！絶対くっつけて」

貴方「結構です！自分でなんとかします！」









さっきまで寒さが気になってたけど








及川先輩とくだらないやりとりをするうちに、気にならなくなっていた









高田先輩のことが言えて安心した








その代わり不安なことも増えたけど









だけどさっきよりも









心に余裕ができた









体が軽くなった感じがする









そっと深呼吸をすると









なんだか澄んだ空気が鼻を通る









これは多分、冬の香り

涙の跡…20→←涙の跡…18

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す