【今日から俺は!!】狂犬の番犬 (ページ9)

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すっとぼけ番犬編ページ9

『あっ相良さーん！おっはようございまっす！』

翌朝、学校への行く途中で相良さんの姿を見つけ手を振りながら駆け寄った。
相良さんはこちらに気が付くと「あぁ…」と一言だけ返した。

「A…お前それどうした？」

相良さんは私の右頬に貼ってある湿布を指差しそう聞いてきた。…実は昨日帰りが遅くなったことを怒った父親に思いっきりぶん殴られたのだが微妙な空気になっても嫌なので取り敢えずは黙っておくことにした。

『え？あぁまぁちょっと転んじゃって。私の事なんかどうでもいいじゃないスか。それより相良さんはどーです？なんか変わった事ありますか？』

誤魔化すようにそういう私を怪しげな目で見てくるもこれ以上は何も聞かないでくれた。

「変わった事ねェ。…あ、お前金髪の石橋と吉村って奴知ってるか？」

相良さんの質問に私は考える。…金髪の石橋と吉村。とてもはじめましてって感じではないとてつもなく既視感を感じる名前だ。っていうか普通に金髪の三橋さんと伊藤さんだよな。いやでも違ったら恥ずかしい。

『えーっと、金髪と石橋と吉村って人は知らないんですｹﾄﾞ…』

金髪の三橋ってやつはいますよ、と言おうとしたのだが知らないという言葉だけ聞いた相良さんは「知らねぇならいいわ」と言いさっさと歩き出してしまった。

伝えるべきか伝えないでいるべきかかなり迷ったけどまぁ間違ってるかもしれない情報を渡すよりかは、と思い今回は喋らないでおくことにした。

『それでその石橋と吉村って奴はなんなんですか？なんかやらかしたんですか？』

「ヤクザ殴って組の薬ばらまいたんだってよ」

『WOW、It’s very crazy boy！』

予想以上のやらかし具合に別に英語が得意って訳でもないのに英語でリアクションをしてしまった。
三橋さんと伊藤さんなら…うん、やるだろうなそれくらいのこと。というかよりにもよってヤクザに手を出すなんて…。余程の命知らずかバカなのか…。
きっとこれからずっと付け狙われることになるんだろうな、と心の中で静かに手を合わせた。

「なんで急に英語出てんだよ。…まぁそういうわけだからおめぇもなんか分かったらちゃんと言えよ」

『わんっ！了解であります！』

この時の私はまだこれから起こることなどまるで予想だにしていなかったのだった。